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会社設立

会社設立の流れ

まずは、会社設立の準備から、設立後の手続きまでの流れを大まかに掴んでいきます。

会社設立の流れは、
1.基本事項の決定
2.定款作成
3.資本金の払込み
4.登記書類作成
5.登記申請
6.登記後の各種行政などへの手続き

という形で進んでいきます。

会社設立は法務局に行けばいいだけでしょ?と思っているあなた。

実は、会社設立登記の前には、公証役場に、そして登記後には税務署や年金事務所など、様々な場所に出向き手続きしなければなりません。ひとつひとつは難しくはありませんが、余裕を持ったスケジュールで進めていくようにしましょう。
▼会社設立に必要な行政などの手続き一覧▼

1 登記前 公証役場 定款認証
2 登記時 法務局 会社代表印提出
3 登記時 法務局 設立登記申請 1、2が必要
4 登記後 法務局 登記事項証明書 取得
5 登記後 法務局 会社代表印印鑑証明書 取得
6 登記後 税務署 設立届 提出 4が必要
7 登記後 都道府県・市町村税事務所 設立届 提出 4が必要
8 登記後 年金事務所 設立届 提出 4が必要
9 登記後 労働基準監督署 設立届 提出 4が必要
10 登記後 公共職業安定所 設立届 提出 4が必要
11 登記後 健康保険組合 設立届 提出 4が必要
12 登記後 金融機関 法人口座開設 4または5が必要

それでは、ここからは順を追って説明していきます。

定款作成の前に!会社設立登記に必要な準備

会社設立はスピーディーに進める必要があります。大切な資産である「時間」をムダに過ごしている暇はまったくありません。会社設立における「知っておくべきこと」を準備編でチェックした上で、いよいよ実践編です。ここからは具体的な手続きなどについて詳細をご紹介していきます。

1)商号決定

「商号」とは株式会社の名前です。基本的には、名前は自由に決めることができます。ここで注意しなければいけないことは、「同一住所に同一の商号がある場合は。登記できない」という点です。事前に本店所在地を管轄している法務局で類似商号がないことを確認しておきましょう。

「商号」を決定する際にチェックするのは「会社法」だけではありません。不正競争防止法等にも注意が必要です。例えば、銀行業でないのに「銀行」という文字を使用することは、混乱を招くため法律上、禁止されています。また、実績のある有名企業の名前も使うことはできません。

2)印鑑作成

登記手続きを行う際に、提出する申請書には会社の代表印を押印する必要があります。代表印は、登記申請を行う際に一緒に届出をしなければいけません。スピード作成などで印鑑を作ることも可能ですが、大切な会社の印鑑は、きちんとしたお店で作ることをおすすめします。きちんとしたお店は、できあがるまで時間がかかるケースも多いので、類似商号のチェックが完了すると同時に準備をはじめるようにしましょう。

会社設立を行う際に必要になってくる法人印鑑をまとめたので、是非チェックして頂きたいです。
>>「法人印鑑|会社設立時に準備すべき実印・銀行印・角印」

3)役員報酬額を決める

どこの会社の役員が、どのくらい役員報酬を手にしているのか、毎年話題になります。役員報酬は、税法と照らし合わせながら、非常に綿密に決定されているものです。なぜなら、役員報酬は原則経費にできないからなのです。つまり、節税の効く範囲で決める必要があるのです。

役員報酬は、起業直後の会社にとっては最も大きな費用と言っても過言ではありません。つまり、役員報酬をいくらにするかによって、会社が払う法人税や、社長となる個人として支払う所得税が大きく変わって来るからです。会社の資金繰りに大きく影響して来るので、しっかりと検討しましょう。
 役員報酬の法律上の取り扱いについて


ここでは、経営者が役員報酬をどう決めているのかを見ていきたいと思います。その前に法律上のことも知っておく必要があるので、そこから見ていきます。役員報酬を決める際の手続きは?

法律上、役員報酬は社長が勝手に決めてはいけません。会社法では、役員報酬は「定款または株主総会の決議によって定める」と決まっています。※定款とは会社設立時に作成した会社のルールを定めたものです。
では、実務上はどのような形式で役員報酬の金額を決めていることが多いのでしょうか。役員報酬の金額を決める流れは次のとおりです。まずは「株主総会」で役員報酬の総額を決めます。役員ごとの内訳は「取締役会または代表取締役」で決めるよう一任します。
「取締役会」で「株主総会」で決めた総額の範囲内で各取締役の役員報酬の金額を決定します。

それぞれ議事録を作成し残しておく必要があります。議事録は税務調査などでも確認する場合があるので、必ず作成しましょう。
株式会社にとって「株主総会」で重要事項を決め、「取締役会」で細部を決めるということはよくあるため、議事録の作成・保存について意識しておきましょう。役員報酬の税務(税法)上の取扱いは?

さて、上記のような段階をふまえて役員報酬を決定するとはいえ、実際は、経営者が役員報酬を決めていることが多いです。ただし、税法についての意識が漏れている事が多いため、確認をする必要があります。役員報酬が税法上認められないとどうなる?

法人税法では、役員報酬はある一定のものしか損金(経費)として認められていません。
法人税法を考慮せずに決めた役員報酬が、損金(経費)として認められないとどうなるでしょう。
会社は損金(経費)が減り、利益が増えるため納める法人税が増えます。役員報酬を支払っているのに法人税も多く納めないといけないため、資金繰りも悪化します。
しかも会社の損金(経費)にならなくても、社長にとっては報酬をもらっているので、損金(経費)となっている給与と同様に、源泉所得税がかかります。これでは役員報酬を支払う意味も半減してしまいます。役員報酬が税務上損金として認められるための3つの支払い方法

では、法人が支払う役員報酬のうち、法人税法で損金として認められるのはどのようなものでしょうか。一般的に使うもので主なものは次の3つです。

定期同額給与

毎月の給与のことです。1か月以下の一定期間ごとに支払われ(定期)、各事業年度で支払われる報酬金額が同額である給与のこと。税務署への特別な届け出は不要です。

事前確定届出給与

役員に対する賞与のことです。役員に支払う賞与について以前は損金として認められていませんでしたが、現在は以下のような条件で損金にすることができます。あらかじめ所轄の税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する
届出書とおりの支給日に記載金額を支払う

なお、届出には提出期限が決まっているので注意しましょう。通常の提出期限は次の日のうち、いずれか早い日です。株主総会などの決議をした日から4か月以内
会計期間開始の日(事業年度開始の日)から4か月以内

ただし、新設法人の場合は設立日以降2か月以内に提出することになります。

利益連動給与

同族会社以外の法人が、利益に関する指標を基準にして業務執行役員に支払う給与のこと。「利益に関する指標」は有価証券報告書に記載されているものに限ります。株主が社長一人だったり、奥さんと二人だったりする場合は「同族会社」なので、この方法を使うことはできません。
法人税の申告で提出する書類に「勘定科目内訳明細書」というものがあります。これは、現金や普通預金などの貸借科目の期末残高や、支払った地代家賃など一部の損益金額の1年間の明細を記載するものです。
この中に「役員報酬手当及び人件費の内訳書」があります。1年間に支払った役員報酬や従業員への給料の金額を記載しますが、上記の3つの給与について金額を記載する箇所があるので、内容を理解しておきましょう。
また、上記3つの給料以外で損金(経費)になるものとして、退職金やストックオプション、使用人兼務役員の使用人部分の給与などがあります。役員報酬を決める際の注意点

会社にとって、役員報酬は大きな費用です。上でも少し触れましたが、役員報酬は会社が支払う法人税や社長自身の所得税に大きく影響しますし、会社の資金繰りにも大きく影響します。
ここでは、役員報酬の決め方と注意点について見ていきます。注意点①役員報酬額が少ないほど法人税が多くなる

役員報酬は会社から社長個人に支払うものです。別の見方をすると、報酬額を決めることは、会社と社長のどちらの手元に資金を残すのかを決めること。資金をどちらの手元に残すかで納税額は大きく変わります。
これは、経営者が会社の経営戦略とともに重要視しなければならないことです。
役員報酬を支払う前の会社の利益が500万円として考えてみましょう。①社長個人の手元に資金を残す場合

主に個人で車や住宅のローンを組みたいときなどは役員報酬を多くします。ただし、個人の社会保険料が多くなるデメリットもあります。仮に利益500万円を全額役員報酬で支払った場合の税額は以下のようになります。給与収入 500万円
給与所得控除(給与の額で決まる一定の控除額) 154万円
給与所得 346万円
所得控除 自分に対する基礎控除38万円(仮に扶養親族や社会保険料控除を0で計算しています)
税金計算の対象となる所得 346万円-38万円=308万円
所得税 3,080,000円×10%-97,500=210,500円(所得税の税率は所得金額により変わります)
住民税 (3,080,000円+50,000円)×10%=313,000円(住民税は自分と扶養家族1人あたり50,000円所得が多くなります。税率は一律10%です)

また、会社には、法人税や地方法人税、法人住民税、法人事業税などの様々な税金がかかります。中小企業の場合、税金の目安となる実効税率は売上や資本金にもよりますがここでは22%程度と仮定します。すべて役員報酬とすれば損金として税金を減額できるため、以下のようになります。
個人:所得税210,500円+住民税313,000円=523,500円
会社:- 500万円×22%= – 1,100,000円②会社の手元に資金を残す場合

金融機関から融資を受けて事業を拡大しようとする場合などは返済能力があるか、つまり会社に返済できる資金が毎年あるかが融資を受けることができるポイントの1つになります。そういった場合は役員報酬の金額を少なくします。ここでは仮に役員報酬を0にし、利益500万円を会社に残す場合の税額を算出してみましょう。
個人:0円
会社:500万円×22% = 1,100,000円③社長個人と会社の利益を同じにした場合

仮に役員報酬250万円、会社の利益250万円にした場合、法人税額は以下のようになります。
個人: 240,500円
会社:550,000円
このように、役員報酬の金額で税額が大きく異なります。会社の経営戦略と税額を考え、役員報酬の金額を決める必要があります。注意点②会社の損益計画を間違うと予想額の納税が発生する

設立時だけでなく、毎年役員報酬の金額を変更できるのは原則期首から3か月以内です。そのため、期首に会社の損益計画をある程度、正確に立てなければなりません。
期首にたてた損益計画よりも売り上げが伸びるとその分利益も上がり、納税額も高くなります。売り上げが伸びることは喜ばしいことですが、資金繰りのことを考えると懸念もあります。
売り上げと同時に代金の入金があれば問題ないのですが、翌月の入金や売掛代金を現金ではなく、手形などでの回収することも多くあるため、売り上げは伸びて納税額も高くなるが手元に資金がないという事態も起こりうるのです。しっかりとした損益計画が必須!

上述したとおり、売上が伸びすぎても資金難に陥る場合もあります。会社の場合、一般的に個人事業主のときよりも扱う金額が大きくなります。しっかりとした損益計画、そしてそれに伴う資金繰りの計画など、「計画」がより重要になります。
計画の立て方はいろいろありますが、例えば1年間の売上金額
1年間の仕入金額や粗利益(売上金額から仕入金額をさし引いた利益)
1年間の家賃や水道代、従業員の給料などの固定費

の正確な計画を立てることができれば、売上金額から仕入金額や固定費を引いたものが1年間の利益になるため、役員報酬の額について計画を立てることができます。
また、上記の計画を月ごとにおこない、売上の入金や仕入の支払い・借入の返済などの資金の動き(サイクル)を加味すると、月ごとの資金が不足しないかなども把握することができるでしょう。自らの会社にあった、そしてより正確な計画をいかに早い時期に立てられるようになるかがポイントになります。注意点③定期同額給与はあとから変更できない

役員報酬の中で一番重要なのは、定期同額給与です。これを理解していないと、後で痛い目にあうことがあります。まず定期同額給与を理解しましょう。定期同額給与の条件

定期同額給与とは上述したとおり、1か月以下の一定期間ごとに支払われ(定期)、事業年度内で支払われる報酬金額が同額である給与のことです。役員報酬は期首から3か月以内なら変更可能ですが、変更後の期間内に支払われる給与はそれぞれ同額でなければなりません。
すなわち、期首から3か月間に10万円ずつの給与を支払い、その後役員報酬額を20万円に変更した場合、残りの9か月はいずれも20万円を支払うことになります。基本的に役員報酬は損金(経費)にできませんが、定期同額給与は損金にすることができます。失敗事例:期中に変更してしまうと・・・

例えば、最初の半年は毎月50万円、資金繰りが悪くなったので残り半年は毎月40万円にした場合、定期同額給与は1年間通じて月40万円とみなされます。最初の半年は定期同額給与40万円にそれ以外の給与10万円がプラスされたとみなされ、
(50万円-40万円)×6か月=60万円は損金(経費)にすることができなくなります。その分利益が増え、税金が高くなってしまいます。注意点④使用人兼務役員の採択で、納税の選択肢が増える

使用人兼務役員は役員のうち、以下の人をいいます。部長、課長など法人の使用人(従業員)としての立場も兼ねている
常時使用人としての職務に従事している
代表取締役や副社長などの一定の役員でない

例えば、取締役部長や取締役工場長などが使用人兼務役員に当たります。使用人兼務役員には、役員部分に対する給与(役員報酬)と従業員部分に対する給与(給与手当)を支払うことができます。賞与についても、役員部分に対する賞与と従業員部分に対する賞与を支払うことができます。
役員部分については、毎月の給与は定期同額給与しか認められません。また賞与については、事前に届け出を出した金額しか支払うことができません。しかし、従業員部分については頑張って黒字を出すと、その分賞与を支払うということできます。このように役員に対しての支払額に幅をもたせることが可能です。
※使用人兼務役員は支払いに幅をもたせることが可能なため、税務調査等では注視されます。給与に対する業務内容が他の従業員と同じ水準になるよう注意しましょう。注意点⑤役員報酬を増やすと社会保険料額が上がる

従業員の給料と同じように、役員報酬にも金額に応じた社会保険料がかかります(社会保険料とは健康保険料と厚生年金保険料の総称です)。役員報酬の金額が高くなればなるほど、社会保険料の金額も高くなります。社会保険料は会社と個人で折半のため、両方に影響します。
社会保険料の金額は都市によって異なるため、
例えば東京都で40歳以上の方 月額30万円とすると、健康保険料 34,620円 厚生年金保険料 53,484円 合計88,104円かかります。
月額60万円だと健康保険料 68,086円 厚生年金保険料 105,185円 合計173,271円かかります
※会社と個人の合計金額です。社会保険料の金額は28年度の料率で計算。
社会保険料の金額は高く、役員報酬の金額を決める際に考慮しないと資金繰りの悪化につながります。役員報酬の金額を決める際には、法人の法人税、個人の所得税、社会保険料を総合的に判断するようにしましょう。
社会保険料の金額は、全国健康保険協会の「平成30年度保険料額表」で確認できます。該当する都市を選択してご確認ください。役員報酬を期中に変更する際の方法・注意点

期首3か月以内の変更であれば問題なく変更をすることは可能ですが、期中となると特別な理由が必要になります。ここでは、役員報酬の期中の変更方法について見ていきます。特定の条件下でのみ変更が可能

役員報酬は原則、期首から3か月以内の変更以外は認められていません。これは日本の会社は株主と役員が同じもしくはその家族ということが多いため、役員報酬の変更を経営者の判断で簡単にでき、その年の利益を操作しやすいためです。しかし、どうしても変更が必要な場合は年の途中でも変更することが認められています。減額、増額それぞれのケースで変更可能な場合を見ていきましょう。役員報酬を減額する場合

役員報酬の変更は次の2つの理由の場合に限られています。臨時改定
業績悪化改定

この中で、減額の場合にあてはまるものを見ていきましょう。
①臨時改定
その役員の職務の内容に重大な変更があった場合は、役員報酬を減額できます。重大な変更とは、次のような場合をいいます。役員が事故や病気で長期入院した場合で仕事ができない場合
役員が不祥事等をおこしたために減額せざるをえない場合

などです。仕事ができない、または不祥事をおこしたのに法律で役員報酬を減額できないのはおかしいということから、減額が認められています。
②業績悪化改定
法人の経営状態が著しく悪化したことなどの理由による改定です。「著しく悪化」については「売上がいくら下がったか」あるいは「利益が何%下がったか」などの具体的な指標は公表されていません。公表されているのは次の3つです。株主との関係上、業績や財務状況が悪化したことへの役員としての経営上の責任から、役員給与の額を減額せざるをえない場合
借入金の返済が遅れているなどが原因で、取引銀行との間で行われる借入金返済のスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるをえない場合
業績や財務状況又は資金繰りが悪化したので、取引先等の利害関係者との信用を維持・確保する必要があり、経営状況の改善を図るため役員給与の額の減額せざるをえない場合

基本的に役員報酬を減額できるのは、会社以外の第3者との関係で減額せざるをえない場合になります。売上や利益の下げ幅などについての具体的な指標が公表されていないため、状況判断を伴います。議事録を作成し、なおかつ税務調査で説明できるようにしておきましょう。役員報酬を増額する場合

減額の場合でも触れましたが、役員報酬の変更は次の2つの理由の場合に限られています。
臨時改定
業績悪化改定

このうち、業績悪化改定は減額の場合のみのため、増額は「臨時改定」に限られます。では、増額のときの臨時改定はどのようなものでしょうか。
これは主に役職の変更です。例えば、取締役から代表取締役になったなどの場合です。仕事量が増えたり責任が重くなったりするので、当然役員報酬は増えるべきです。
この場合も、法律で役員報酬を増額できないのはおかしいため、増額が認められます。ただし増額の結果、役員報酬の総額を超えてしまう場合や他の同じ役職の人に比べて不当に高い金額などは認められません。増額の場合も議事録が必要です。役員報酬を変更する場合の議事録作成の例

役員報酬を変更する場合は、議事録を作成する必要があります。役員報酬の変更は、株主総会または取締役会で行います。
取締役会設置会社であれば取締役会で、それ以外は株主総会で行います。株主総会であれ、取締役会であれ議事録の様式は大まかには決まっています。開催日時と場所
主席者 (株主総会の場合は株数等も必要)
議案 役員報酬の変更
記名押印

という流れです。

株主総会議事録
開催日時 平成○年○月○日午前○時○分より午前○時○分まで
開催場所 ○○県○○市○○町○丁目○番○ 当会社本店会議室
議長に就任した代表取締役○○○○が、本株主総会は以下のとおり出席があり、適法に成立した旨を宣し、定刻に議案の審議に入った。
 発行済株式の総数         ○○○株
 議決権を有する総株主の数      ○○名
 総株主の議決権の数        ○○○個
 出席株主の数(委任状出席を含む)  ○○名
 出席株主の議決権の数       ○○○個
第○号議案 取締役報酬額変更の件
平成○○年○○月以降の代表取締役及び取締役の報酬を次の通り変更する。
議長は、下記の承認を願いたい旨を述べ、その理由を詳細に説明しその賛否を議場に諮ったところ満場一致の賛成を得て一同これを承認可決した。
 1.代表取締役 ○○○○  月額○○万円
 2.  取締役 ○○○○  月額○○万円
議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、閉会した。
この決議を明確にするため議長及び出席取締役が記名押印する
 平成○○年○○月○○日
             株式会社○○株主総会
              議長・代表取締役 ○○○○     会社実印
                 出席取締役 ○○○○     印
                 出席取締役 ○○○○     印

  取締役会議事録
平成○年○月○日午前○時○分より当会社本店において取締役会を開催した。
議長に就任した代表取締役○○○○が、本取締役会は以下のとおり出席があり、適法に成立した旨を宣し、定刻に議案の審議に入った。
 取締役の総数    ○○名
 出席取締役の数   ○○名
 監査役の総数    ○○名
 出席監査役の数   ○○名
第○号議案 取締役報酬額変更の件
平成○○年○○月以降の代表取締役及び取締役の報酬を次の通り変更する。
議長は、下記の承認を願いたい旨を述べ、その理由を詳細に説明しその賛否を議場に諮ったところ満場一致の賛成を得て一同これを承認可決した。
 1.代表取締役 ○○○○  月額○○万円
 2.  取締役 ○○○○  月額○○万円
議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、閉会した。
この決議を明確にするため議長及び出席取締役が記名押印する
 平成○○年○○月○○日
             株式会社○○取締役会
              議長・代表取締役 ○○○○     会社実印
                 出席取締役 ○○○○     印
                 出席取締役 ○○○○     印
上記はあくまで一例です。多少、文言等が変わっても問題ありません。代表取締役の印鑑は会社の実印を押印します。他の取締役は認印で問題ありません。
役員報酬の変更は税務署も注視しています。議事録だけでなく、変更になった理由を示す資料も残し、税務調査の際にはきちんと説明できるようにしておくことが必要です。注意点:期中の減額や増額は不可!

上記の議事録を見てみると、○○月以降の報酬となっています。役員報酬の減額や増額は、あくまでその基となる原因があっておこなうものです。そのため、期首などにさかのぼって変更することはできません。さかのぼって変更すると損金(経費)として認められなくなり、税金を追加で納付することになります。まとめ

役員報酬は会社にとっては大きな費用です。しかも、法人に対する法人税、個人に対する所得税、社会保険料と影響するところが多く、金額の設定を間違えるとたちまち資金繰りの悪化などに陥りかねません。それを回避するためには、1年間のしっかりとした損益計画を立てる必要があります。
また、「定期同額給与にしていなかった」「認められていない事由で金額の変更した」など、役員報酬が損金(経費)にならないケースもあります。どのような役員報酬が認められるかを知り計画を立てましょう。
計画を立てるということは会社の利益を把握するということです。これは、役員報酬だけではなく、これから会社を大きくするためには必要不可欠なことです。会社の利益を把握し、しっかりとした経営計画をたて会社を大きくする。そして役員報酬も増やしていくことができれば、会社も経営者も成功できるでしょう。

4)資本金額を決める

会社設立の際に悩むポイントのひとつが、資本金の額です。1円から株式会社が設立できる中で、一体いくらに設定すれば良いのでしょうか。
まずは「資本金」の意味を知っておきましょう。「資本金」とは、株式を発行することで集めた資金を指します。資本金の用途は、会社が業務を行うための資金なので、資本金が多ければ多いほど、業務に使えるお金が多い、つまり「体力のある会社」と認められます。

資本金をいくらにすべきかという疑問は、下記記事で解決できます。是非ご覧ください。
>>株式会社設立の際、資本金はいくらにすべき?4つのポイントを解説

資本金は対外的に、会社の信用力としての働きをします。資本金の多い会社は、金銭的に体力のある会社として見なされます。お客様の信用を得ることで有利に取引を進めることができます。取引先を選ぶ際には、定款のチェックをすることで、資本金までしっかりと目を通されることになるのです。

設立したばかりの会社では、対外的な評価があまりありません。その際の判断基準として資本金が最も大きな役割を果たすのです。しかし、例えばBtoCのビジネスの場合には、一般の消費者は企業の規模まではあまり注意してチェックしないので、資本金を高めにする必要性は低いとも言えます。あくまで業種、資本金調達能力に合わせて検討することが基本です。

定款の作成

会社では、基本原則となる「定款」を作成する必要があります。この「定款」には、必ず記載すべき事項である「絶対的記載事項」があります。もし、この絶対的記載事項の記載がない場合には、定款全体が“無効”になってしまうので、十分な注意が必要です。

定款作成時の絶対的記載事項

【1)事業目的】

定款に記載していないことを会社が事業として行ってはいけません。つまり、設立時に行わない事業だとしても、将来的に行う可能性がある場合には、前もって記載しておくことをおすすめします。
ここでポイントです。
定款の目的の最後に、「前各号に付帯または関連する一切の事業」追加しておきましょう。すると、新しい業務を始める場合でも、目的に関連したものであれば定款を変更する必要がなくなります。

【2)商号】

いわゆる会社名です。株式会社を設立する際には、商号の中に「株式会社」という文字を入れなければなりません。前株か後株かは経営者の好みで自由に決めることができます。

【3)本店所在地

自宅を本店として定める際には注意が必要です。特に賃貸の場合です。契約書を確認して「法人不可」の記載があるかどうか、しっかりとチェックしましょう。定款には、最小行政区画までを記載する必要があります。東京23区については区までの記載となります。もちろんすべての住所を記載することも可能です。
【4)設立に際して出資される財産の価額又はその最低額】

株式会社の設立の際に記載するのは、「株数」ではありません。出資財産額、または出資最低額を記載します。つまり、確定している額ではなく、「その最低額」を決定すればいいのです。定款作成後、定款に記載した「発起人の出資額」のうち、一部のみしか出資の履行ができないようなケースでも設立が可能ということなのです。

株式登記申請時には、資本金の額を確定する必要があります。資本金の額、発行済株式の総数が、登記すべき事項となっています。

【5)発起人の氏名又は名称及び住所】

株式会社設立の際には、「発起人」を必要とします。発起人は、設立手続きを実際に行う人です。定款に発起人として署名する必要があります。発起人の指名・住所は、定款に必ず記載する必要があります。つまり、絶対的記載事項です。記載を欠いた際には、定款そのものが無効になります。発起人は、最低1株を引き受けて設立事務を行っていきます。つまり、発起人なしには、株式会社の設立は不可能です。発起人の氏名、住所とともに、発起人の引受株数の記載が必要です。

【6)発行可能株式総数】

発行可能株式総数については、定款認証時に定めておく必要はありません。しかし、定款に定めていない場合には、会社の成立までに、定款を変更してその定めを設ける必要があります。設立時発行可能株式総数は、発行可能株式総数の4分の1を下回ることはありません。ただし、非公開会社のケースを除きます。

定款認証|電子定款も上手く活用しよう!

ここまでの流れを踏まえた上で、定款の作成をしたら、次はその定款の記載が正しいものであるかどうかを第三者に証明してもらう必要があります。「定款の認証」です。会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する「公証役場」にて行います。
定款は、紙ベースだけでなく、PDFの電子定款で準備することも可能です。紙の定款認証には収入印紙代として4万円が必要ですが、電子定款では不要になります。

定款作成についてよくある間違いなど、下記記事で解説しています。是非チェックしてください。
 設立登記に必要な書類とは?

設立登記の手続きの際には以下の書類が必要です。なお、ここでは取締役会非設置会社の発起設立(自分ひとりの出資で役員も自分のみの株式会社を設立)を想定しています。
・登記申請書
法務局に登記申請するための書面です。
・定款
原始定款(設立時の定款)です。事前に公証人による認証を受けていなければなりません。
・発起人の決定書
本店所在地の詳細などを決定します。
・就任承諾書
設立時取締役や監査役が就任を承諾する手続きの書面です。
・印鑑証明書
設立時取締役全員分が必要です。
・払込みを証する書面
該当ページの通帳コピーです。
・印鑑届出書
会社代表印(実印)を登録するための書面です。

定款作成のポイントとは?

定款は会社の憲法とも言われ、会社を設立する際には必ず作成しなければなりません。定款自治と言われるように、ある程度の裁量が会社に認められていますが、必ず記載しなければならない事項もあります。定款に必要となる記載事項とは?

定款に記載される事項としては以下のようなものがあります。
・絶対的記載事項
定款に必ず記載しなければならない事項です。
目的・商号・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額・発起人の氏名・住所・発行可能株式総数
・相対的記載事項
定款に記載する必要はありませんが、記載しないと無効となります。
変態設立事項・種類株式
・任意的記載事項
定款外で規定しても有効となります。
公告方法(官報以外の場合)・事業年度(決算期)変態設立事項で記載する事項とは?

変態設立事項とは、変態とあるように、設立に関する変則的な行為を指します。これは、発起人が自分の利益を優先するなどして、会社が不利益を被ることがないよう、定款に記載が求められるものです。変態設立事項は相対的記載事項なので、定款に記載しなければ無効となります。
変態設立事項には以下のものがあります。
・現物出資
金銭以外の財産(不動産など)を出資することです。
・財産引受
設立前から、設立後に会社と発起人が財産を売買する契約をしていることです。
・発起人報酬
発起人としての報酬を受けることです。
・設立費用
登録免許税や定款印紙代など通常設立に必要な費用以外の設立費用を会社が負担することです。変態設立事項は検査役による調査が必要?

変態設立事項については、裁判所が選任する検査役による調査が必要となります。ただし実務上は、発起人報酬と設立費用について必要となるケースは稀です。また、現物出資と財産引受についても、目的財産について、①価額が500万円以下、②市場価格のある有価証券、③公認会計士・税理士・弁護士から価額の証明を受けたときのいずれかに当てはまる場合は、検査役調査が不要となります。

代表者と発起人の違いとは?

発起人と代表者は別ものです。多くのケースで、同一の人物になりますが、別人であっても問題ありません。ただし、発起人は必ず出資をして、株主にはならなければなりません。設立後に定款を変更できる?

定款を変更するためには、株主総会の特別決議(定款変更は株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席して、出席株主の3分の2以上が賛成)が必要です。また、後で説明する商業登記の手続きが必要です。会社設立後に必要な業務・書類とは?

設立登記や定款作成は会社設立前に必要な業務ですが、会社設立後に必要となるものもあります。
商業登記

会社を運営していくと、会社設立後も登記が必要なケースが多々あります。これらは、不動産登記と区別して商業登記と呼ばれます。商業登記が必要とされる理由としては、会社の重要な情報を開示することによって、第三者が想定外の損害を被ることを防ぐことにあります。
商業登記が必要となる主な行為としては、定款変更、代表者や役員の変更、代表者の住所変更、増資や減資、ストックオプション発行などが挙げられます。
議事録
会社運営にあたっては、法的な要請や登記のための必要性から、さまざまな議事録を作成することになります。議事録の整備は、将来外部株主を入れたり、IPOをしたりする際に非常に重要となります。
代表的な会議体である株主総会と取締役会の議事録の記載事項は次のとおりです。
開催された日時・場所
議事の経過の要領・結果
意見・発言の概要
出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名
議長の氏名
議事録を作成した取締役の氏名
取締役会議事録
開催された日時・場所
議事の経過の要領・結果
意見・発言の概要
出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名
議長の氏名


資本金の払込み

何度も触れていますが、現在の会社法では、資本金は「1円」であってもよいことになっています。しかし、1円での起業は現実的ではありません。業種にもよるので、一概には言えませんが、100万〜1,000万円が目安となります。

資本金が1,000万円を超えると、会社設立初年度から消費税が課税されます。通常、設立初年度の会社は消費税は免除されますが、1,000万円を超える場合には、この特例は適用されません。

資本金は「金」とあるのでお金だけが対象と思われがちですが、実は、出資方法には、お金以外に「物」で出資する現物出資があります。

資本金の払込は次のような流れで進められます。
1.資本金は“振込”の必要があるため、自分名義の口座に自分名義で振込みます。
2.通帳の表紙と1ページ目、振込をしたページのコピーを取ります。
3.払込証明書を作成します。2のコピーと一緒に綴ります。
4.3の書類の継ぎ目に会社代表印を押印します。
5.法人設立の完了後、法人名義の口座を開設し、資本金緒金額を個人名義から法人名義へと移します。

登記書類を作成

最終段階の登記申請に向けて、登記書類の準備をします。会社のタイプによって、作成する書類の種類も変わってきますので、以下の書類の中から、自分の会社の形態に合わせて準備しましょう。
1.発起人決議書
2.発起人会議事録
3.代表取締役選定書
4.取締役就任承諾書
5.監査役就任承諾書
6.印鑑届書

登記書類は製本が必要です。基本的には、印鑑証明書以外のすべての書類を重ねて、左側をホチキスで留めるだけで完了です。サイズはA4サイズに統一します。
 会社設立の際の主な届出書類一覧

忘れないように届出を出しましょう。
〈法人〉
提出先      届出書類                     提出期限
税務署      法人設立届書                   設立2ヶ月以内                                                                                                
                             青色申告承認申請書                 設立3ヶ月以内か最初の決算日のいずれか早い肥 
         給与支払事務所等の開設届出書                           設立後1ヶ月以内
         源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書               適用を受けようする月の前月まで         
                             消費税課税事業者選択届出書             最初の決算日まで 


都道府県           法人設立届出書                   設立1ヶ月以内 

市町村     法人設立届出書                     設立1ヶ月以内        
  
〈個人〉

税務署     個人事業の開業届出書                開業日から1ヶ月いない
        所得税の青色申告承認申請書               開業日から2ヶ月以内(1月1日~15日の間の場合は3月15日まで      
                         青色事業専従者給与に関する届出書                                   専従者がいることになった日から2ヶ月いない
        給与支払事務所等の開設届出書              開設の日から1ヶ月以内
                         源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書                  適用を受けようとする月の前月まで
       消費税課税事業者選択届出書              その事業を開始した日の属する課税期間末日まで   

※上記の他にも、棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法、消費税に関する届出などがあります。法定評価方法を採用しない場合、課税事業者を選択する場合などは、専門家もしくは管轄の税務署に確認するようにしましょう。経理カレンダーを作っておこう

顧問税理士がいれば、その都度教えてくれますが、自分でしている場合は誰も教えてくれません。下記のカレンダーには創業初年度で必要な主な項目についてピックアップしています。しっかり頭に入れておきましょう。

法人
(例:3月決算法人)

個人事業

1月

①源泉所得税の納付

源泉所得税の納付

②償却資産税の申告

償却資産税の申告

③法定調書合計表・給与支払報告書の提出

法定調書合計表・給与支払報告書の提出

2月


決算作業

3月

④実地棚卸

確定申告

4月

⑤決算作業


5月

⑥株主総会


⑦税務申告


6月



7月

源泉所得税の納付

源泉所得税の納付

⑧健康保険/厚生年金保険の定時決定


⑨労働保険の年度更新

労働保険の年度更新

8月



9月



10月



11月



12月

⑩年末調整

年末調整

実地棚卸

①源泉所得税の納付
上記の表は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している場合です。
この特例は、給与の支給人員が常時9人以下の会社については、源泉徴収した所得税を、半年分まとめて納めることができるものです。
具体的には、1〜6月の給料や報酬などから源泉徴収した所得税を7月10までに、7〜12月までに源泉徴収した所得税を翌年1月10日までに納付することになります。
もし、この届を提出していない場合で、給与や報酬の支払いがある場合には、支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。例えば6月25日に給与を支給した場合は、翌月7月10日までに、その給与から源泉徴収した所得税を納付しなければなりません。
この納付を怠ると、納付期限日から起算した高い延滞税や加算税が発生するので、忘れず納付をするようにしましょう。
補足:
所得税の他、給与から特別徴収(天引き)する住民税についても、翌月10日までに金融機関を通じて各市区町村に納付しなければなりません。

 ②償却資産税の申告
償却資産税の申告書は毎年1月に、市町村(東京の場合は都)に提出します。
償却資産税とは、毎年1月1日現在の所有する器具備品や機械装置などの償却資産に対して課される税金です。
納税については、東京都又は市町村から送付される納税通知書によって納めます。納期は原則として4月、7月、12月、2月で、各市町村の条例で定められています。(東京23区は、6月、9月、12月、2月です)

 ③法定調書合計表・給与支払報告書の提出
法定調書合計表は税務署に提出する書類で、前年1年間の源泉所得税の額等を報告します。具体的には、給与の額や税理士・弁護士等への報酬、支払家賃の明細及び源泉徴収税額などを記載します。提出期限は1月31日です。
給与支払報告書(2枚一組)は、総括表(表紙のようなもの)をつけて1月31日までに、給与を支給した者の1月1日に居住する市区町村に提出します。

④実地棚卸
決算期末の棚卸資産の残高を確認するために、実際に現物を点検・計量します。

⑤決算作業
売上・売上原価の確定、決算整理仕訳、財務諸表の作成

⑥株主総会
一般的な場合事業年度の終了の日から2か月以内に株主総会を開催します。1週間前までに「株主総会をします」という旨の通知を株主に送ります。

⑦税務申告
法人税・地方法人特別税・法人住民税・法人事業税・(法人消費税)の申告書の提出及び納付をします。
忘れると、無申告加算税や延滞税、青色申告の取り消しなどのペナルティが課せられるので、申告期限・納付期限を守りましょう。
2017年版 法人税の基礎から申告・納税まで

 ⑧健康保険/厚生年金保険の定時決定
毎年7月10日までに7月1日現在における被保険者(社会保険に加入している人)の被保険者報酬月額算定基礎届(全ての被保険者の3か月間(4~6月)の報酬月額の届出)を日本年金機構(年金事務所)へ提出します。
この提出した算定基礎届をもとに、9月以降の標準報酬月額が決定されます。

⑨労働保険の年度更新
労働保険とは労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険とを総称した言葉です。保険給付において、両保険制度は別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。
事業主は、労働者を一人でも雇用していれば、業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり、労働保険料を納付する必要があります。
事業主は、労働保険の保険料を年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付します(この申告を「年度更新」といいます)。
年度更新の手続は、6月1日から7月10日までの間に行います。

⑩年末調整
1年間(1月~12月)に支払った給与・賃金から源泉徴収した所得税について、原則として12月の最終支払日に再計算し、支払額の過不足を調整するのが年末調整です。
会社など給与の支払者は、役員又は使用人に対して給与を支払う際に所得税の源泉徴収を行いますが、その年に源泉徴収をした所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額とはならないため、年末調整により、1年間に源泉徴収をした所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税額を一致させます。

法務局への会社設立登記申請
さて、資本金払込後2週間以内に、法務局へ登記申請をします。会社成立日は「登記申請をした日」となります。原則として、会社設立登記の申請は、代表取締役が行います。
登記を申請するのは、設立する会社の本店所在地を管轄する法務局です。申請方法はとても簡単です。書類一式を法務局へ持参します。窓口で手渡すケースと、ボックスに入れて提出というケースがありますが、いずれの場合もとても分かりやすいので、迷うことはありません。
以下に、登記申請時に注意したいポイントをまとめました。

登記申請には収入印紙が必要

登記申請に必要になるのが、収入印紙です。法務局内に登記申請書に貼る収入印紙が購入できる販売所があります。事前に郵便局で購入することも可能ですが、登記申請書に貼る印紙は、通常15万円と高価になるので、まずは法務局で書類をチェックしてもらい、提出する直前に販売所で購入してから貼ることがおすすめです。無駄にしないためにも、内容に不備はなく、このまま申請に進める!という状態で貼るようにしましょう。
申請書の左上に、鉛筆で申請人の連絡先(電話番号)を記載しておくことを忘れずに。

収入印紙について全く知識が無い方は、この機会に下記記事で抑えておきましょう。
>>収入印紙を貼らなきゃいけない書類と印紙税の基礎知識

登記申請書提出日=会社設立日

設立日は手続き完了日ではありません。登記申請書を提出した日が会社設立日となるので、日程を間違えないように持ち込みましょう。

書類の提出場付近には、「本日受付の登記申請の完了予定日は○月○日です」といった表示が出ています。もし、登記申請書に書いた内容に修正の必要がある場合には、この完了予定日よりも前に、先ほど鉛筆で記載した申請人の連絡先(電話番号)に連絡が来ることになっています。連絡が来なければ無事に手続きは完了し、会社設立をしたことになります。

郵送での登記申請も可能

会社設立は何かと時間と手間がかかり、忙しくて法務局に行く時間もないという人も多いかもしれません。

登記申請は郵送でも可能です。

宛先は管轄の法務局にして、封筒の表にはしっかりと「登記申請書類在中」と記載して郵送しましょう。郵便の種類に指定はありません。普通郵便でも問題なく受理されます。しかし、安心なのは、書類が管轄の法務局にきちんと届いたことを確認できるように、書留または配達記録郵便などにしておくことです。

【※郵送の場合は、書類が法務局に到着した日=会社設立日になる】

ただし、ここで注意が必要です。郵送の場合、「会社設立日=書類が法務局に到着した日」となります。会社設立日にこだわりがある方は多いことでしょう。その際には、郵便局の窓口で手数料30円をプラスすれば、配達日を指定して郵送することが可能です。また、郵送の場合には、窓口での表示の確認我で来ませんので、完了予定日を知ることができません。書類の到着予定日に法務局に電話でお問い合わせすれば教えてもらえます。

無料で利用できる設立登記サポートサービス

最近では、起業に関する専門知識がない方でも、フォーマットに沿って書類を作成していくだけで簡単に会社設立登記が完了するサービスもあります。
無料で利用できるので、ぜひお試しください。
>>「弥生のかんたん会社設立」で株式会社を設立してみて分かったこと

会社設立後の手続き

さて、無事に会社が設立できてホッとしたところですが、会社設立後にも手続きがいくつか必要になります。

印鑑証明書の交付

会社設立の際に、会社の印鑑の届出をしたのを覚えているでしょうか?会社設立と同時に印鑑カードが出来上がっています。印鑑カードは、会社の印鑑証明書の取得時に法務局の窓口で提示するものです。印鑑カードの受取方法は、「印鑑カード交付申請書」を作成して、窓口に持参するだけです。

印鑑カードを受け取ったら、早速ですが会社の印鑑証明書の交付をしてみましょう。銀行口座の開設など、会社の設立時には何かと印鑑証明書が必要になります。数枚まとめて発行しておくと便利です。

法務局に何度も足を運ぶのは面倒なものです。いつも何かと混んでいるので、法務局に言った際にはまとめて用事を済ませることをおすすめします。印鑑証明書と一緒に登記簿謄本の取得もしておきましょう。発行には印鑑証明書のように印鑑カードなどは必要ありません。こちらも会社設立後の手続き、口座開設などに数通必要になるので、5通ほど交付しておくと時間の節約になります。

おしゃれなノートとペン

税務署への届出/申告

会社には様々な税金がかかります。法務局での手続きが完了したら、次は税務局への届出をしましょう。会社設立後の手続きの中でも最も重要な位置づけとなっています。会社の所在地を管轄する税務署へ届出をします。

届け出に必要なものは主に次の6つになります。
1.法人設立届
2.青色申告の承認申請書
3.給与支払事務所等の開設届出書
4.源泉徴収の納期の特例の承認に関する申請書
5.棚卸資産の評価方法の届出書
6.減価償却資産の償却方法の届出書

通常は、1〜4の提出で間に合いますが、不明な点は税務署の窓口でしっかりと確認しましょう。必要な書類に記入、そして押印をしたら、コピーを1部ずつとり、税務署に時算します。税務署でコピーに日付印を押してもらえるので、こちらを控えとして補完しておきましょう。

都道府県税事務所・市町村役場への届出も忘れずに

税務署への届出作業が完了したら、都道府県税事務所、市町村役場への届出をします。税務署に提出する法人設立届出書と同じ内容のものを提出すれば完了です。税務署の窓口で設立届出書の用紙を受け取った場合には、複写式になっているので、2枚目以降を自治体に提出するだけでOKの場合もあります。

社会保険関係の手続き

そして最後に、社会保険関係の手続きをします。会社設立時には資金の関係でといった理由で、加入していない会社が多いのですが、加入は義務づけられています。手続きは最初にまとめて片付けてしまった方が後が楽なので、一気に終わらせてしまいましょう。

年金事務所

たとえ社長1人の会社であっても加入の必要があります。ちなみに、厚生年金は「日本年金機構」が、健康保険は「全国健康保険協会」が運営しています。日本年金機構の事務所である年金事務所では、健康保険の加入手続きも一括で行うことが可能です。

労働基準監督署

ここでは「労災保険」の加入手続きを行います。ただし、従業員がいない場合には加入の必要はありません。

ハローワーク

公共職業安定所、通称:ハローワークでは、「雇用保険」への加入手続きを行います。こちらも従業員が居ない場合には加入する必要はありません。従業員が入ったら、すぐに手続きを行いましょう。失業保険に関わることなので、とても重要です。

手続書類以外で会社設立前後に必要になるものは?

会社設立登記前に用意しておきたいもの

会社設立後にあわてないためにも、設立登記の準備と合わせて用意したいものがいくつかあります。登記後すぐに営業・PR活動ができるように、以下のものは優先的に用意しておきましょう。
1.企業ロゴ
2.名刺
3.ホームページ
4.挨拶状
5.会社概要チラシ
6.営業資料
7.経営管理体制

詳しくはこちらから>>これさえあれば1人でも失敗しない!起業前に準備すべき必要なもの【厳選7つ】

会社設立後に必要になるもの

「会社設立が終わって、一安心!」というのもつかの間、いざ営業が始まれば、必要なものがたくさん出てきます。
下記は、会社設立後にすぐではなくてもいずれ必要になるものです。

早め早めの準備を心がけましょう。

契約書関係

会社設立が終了したら、人を雇ったり、取引先と契約を結んだり………と様々な場面で契約書が必須となってきます。
先程ご紹介した7つよりは優先度が低くはなりますが、早いに越したことはないものばかりです。

例えば、

人を雇うときは、「雇用契約書」
お金を借りるときは、「金銭消費貸借契約書」
外注するときは、「業務委託契約書」
第三者に重要な情報を漏らしてほしくないときは、「秘密保持契約書」
オフィスを借りるときは、「オフィス賃貸契約書」
など、簡単に列挙するだけでも、こんなに数があります。
下記記事で必要になるすべての契約書をまとめてあるので、是非ご覧いただけたらと思います。
>>【保存版】会社設立後に必要になる「契約書」をまとめました

法人用銀行口座・クレジットカード

法人登記をしたら、個人用の銀行口座/カードを使うというわけにはいかなくなってきます。
会社や個人事業主の経費処理のポイントは、法人と個人のお金の出入りをしっかり分けることにほかなりません。法人向けカードを使うことでお金の出入りを分けられるほか、カード会社が発行する明細が経費処理に使えるので、経費の管理にも便利です。

まず法人口座とは何かについて理解できていない方は、下記記事でしっかり確認しておきましょう。
>>「創業時の法人口座開設で知っておきたい3つのポイント」

設立当初は審査に通りにくい場合もありますが、そんなときには、下記記事をご参考ください。
>>「会社設立1ヶ月でも審査が楽に通る法人クレジットカードのおすすめを厳選!」

オフィス関係

個人事業主から法人成りした方は特に、自宅にオフィスを構えてしまう場合も多いですよね。
いざ仕事を開始すると、商談場所に困ったり、プライベートとの区別がつかなくなり、オフィスを構えたくなるものです。
そういった場合には、会社設立してからでも問題ないので、ポイントを抑えてオフィスを準備しましょう。

まずはどんな選択肢があるのか、下記の記事でチェックしましょう。
>>「創業期に選ぶオフィス・事務所の形態別まとめ」

いざオフィスを構えるといっても、設立後はお金が無いケースがほとんどかと思います。
そんなときにまず候補にあげられるのは、コワーキングスペースだと思います。借りる人や目的によって一長一短あるかと思いますが、まずどんなものか知っておいて損はないはずです。
>>「家賃節約と起業家コミュニティが魅力。それでも選ぶなら覚悟を決めろ!起業して初めてのコワーキングスペース選び」

コワーキングスペースは短期利用も可能ですが、シェアオフィスとなると、ある程度の期間契約することが多いです。
シェアオフィスならではのメリットやデメリットも抑えておきましょう。
「シェアオフィスで恋して・・・起業して初めてのシェアオフィス選び」

「レンタルオフィス」に興味を持った場合、下記の記事が参考になるでしょう。
レンタルオフィスとは、一般的な賃貸借契約よりもシンプルな仕組み=レンタルによって利用するスタイルのオフィスのことです。メリットやデメリットを踏まえて、選択しましょう。
>>「賃料よりサービスが決め手 起業して初めてのレンタルオフィス選び」

レンタルオフィスよりは敷居が高くなりますが、人数や地域によっては、賃貸オフィスも選択肢の1つです。
「賃貸オフィスを契約する前に知っておきたい ”6つのポイント”」

まとめ

いかがでしたか?会社設立前後の流れ、掴めたでしょうか?
会社設立はやらなければならないことが多く大変ですが、定款や役員報酬など、間違えたら大変な重要事項もあるので、慎重に進めるようにしてください。設立時に決める事項は、その後の会社運営にも関わることですので、わからないことがあれば、必ず専門家に相談するようにしましょう。