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行政書士と刑法基礎52(背任罪)

行政書士と刑法基礎52(背任罪)
背任罪は会社関係意外、殆ど問題なることはない。背任罪を理解することは横領罪を理解することにもつながる。
背任罪の法益保護は財産と委託信任関係である。
背任罪の要件であるが
①他人のために他人の事務を処理する者
 よくあげられる例としては借金の返済でしょう。借金は他人のため、ではあるかもしれませんが、他人の事務ではなく、自分が行うべき事務です。よって借金返済は①の要件を満たさず、債務者が背信行為(裏切り行為)をしたとしても背任罪に該当することはありません。
②背任行為
 不法領得の意思は必要ありません。会社に対しての裏切りを指しています。
③図利加害目的
 「とりかがいもくてき」と呼びます。
 自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的のことです。図利加害目的は消極的動機説と言われています。
基本的に①②の要件を満たせば③図利加害目的も満たされます。
④故意
背任罪と横領罪の違いであるが、横領罪の要件と背任罪の要件、どちらも満たされる場合には横領罪が優先的に適用されます。法条競合の関係に立ち、横領罪の方が法定刑が重いためです。
論述の仕方は次のとおりである。
①利益に対する横領(背任)行為であると指摘する。
②横領罪を検討する。
③横領罪が成立するなら横領罪。成立しないなら背任罪を検討する。
 会社の不正融資で背任罪が適用されることが多い。相手の会社は背任罪の共犯になるかということであるが、融資するかどうかの判断は当該会社自身に委ねられているので、融資のお願いをした会社は基本的に共犯とはなりません。しかしながら、通常融資は利害関係が対立します。それなのに利害関係が共通していたといった事情がある場合には背任罪の共犯になります。