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行政書士と訴訟⑩

行政書士と訴訟⑩
売買代金を払ってくれないというトラブルは比較的単純なケースが多い。
このトラブルは、お金がないというのが大きなトラブルの原因である。
裁判しようが何をしようが払えないものは払えないといういうことで、裁判に勝っても事実上回収などできないわけである。
しかし、諦めないで、費用をかけないで回収する方法は「内容証明郵便」による催告と支払督促、公正証書の作成である。
催促の内容証明は、時効が止まっていることを証明するために重要な意味を持つ。公正証書の作成は貸し付けの条件として作成することもできる。たとえば、直ちに裁判しないとかの条件をつけるのである。
公正証書は相手の意思に反してまで作成することができない。
公正証書のを作成する場合は本人確認の資料が必要だ。もちろん
委任状がなければ代理人にあんることはできない。
支払督促は書面審査だけで、相手方の意見を聞かずに、裁判所が相手方にお金の支払いを命じてくれる。もちろん、相手方が異議を申し立てると通常の裁判になる。
さて、最近、テレビでお馴染の「過払い金請求」であるが、
貸金業者は利息制限法の制限を超える利率で利息をとっていた
という事実がある。理由は、利息制限法には「刑事罰」がないからである。出資法で定められている以上の利息をとると罰せられる。つまり、利息制限法に定められている以上の利息をとっても
出資法に定められている利息以下ならば罰せられないというわけだ。いわゆるグレイゾーン戦略である。
しかしながら、裁判所は利息制限法の利率を超える支払いを、利率制限法の利率で計算し、払い過ぎの利息を元本に充当すると、元本は完済しているケースがある。結局、払う必要のないお金(過払い金)を貸金業者に支払っていると裁判所は判断しているのである。
しかし、現在では利息制限法が改正されて、貸金業者は利息制限法違反の利息をとることはできない。過払い金の請求ができるの利息制限法が改正になる以前の貸し付けである。
貸金業者の記録がないと過払い金の請求はできない。結局、裁判をして過払い金の記録を貸し金業者に提出させることが必要となってくる。
弁護士は過払い金裁判をして生活の糧を稼いでいるわけである。また、司法書士は独占業務の過払い金請求の裁判手続きをして荒稼ぎをしているのである。
いる。残念ながら、行政書士は過払い金裁判については関与することはできない。
そのほか、「手形小切手訴訟」という裁判もある。金銭請求に関し、手形小切手が関係している場合は訴訟ができるのである。
簡単言えば被告が所持している約束手形の有効性を争う裁判である。
この訴訟は書証の取り調べと本人尋問しかなく、証人尋問もできない。手形小切手訴訟には控訴することはできない。
申立方法であるが、管轄は簡易裁判所と訴額が140万円を超えた場合は地方裁判所に申立を行う。訴状に「審理及び裁判を手形小切手訴訟によることを求める」と記載しなければならない。
登記手続に関する訴訟もある。「所有権移転登記手続請求裁判、抹消登記手続請求裁判」である。あまり多くはない裁判ではある。問題になるのは、いったん、契約が成立し登記もしたが、その後、契約が取消あるいは解除された場合である。
登記手続きに関する裁判では、他に名義が移されないようすることが大変重要である。そのため処分禁止の仮処分をするのである。仮処分には「保証金」(裁判所の裁量によって決まる)
が必要である。裁判のために必要になる書類は①登記事項証明書
②契約書
③紛争に至る経緯を説明する「陳述書」
④売買に伴って移転登記を請求する場合は代金を支払ったことを証明する領収書、振込の控え
⑤抵当権の設定登記請求する場合は貸金をしたことを証明する領収書、振込の控え
登記手続きに関する裁判は「保全訴訟」(仮処分)と「本案訴訟」がある。つまり、仮処分が認められたからいって不動産が自分の所有ならないのは言うまでもない。
相手方も仮処分がいつまでも続くことは避けたいので裁判所に早く裁判をするように「起訴命令」を出してもらうことができる。
裁判の管轄は目的の不動産が所在する地方裁判所である。訴状の書き方であるが
①被告は、原告に対し、別紙物件目録の不動産につき、令和 年 月(売買、贈与などの所有権を取得する原因を記載)を原因とする所有権移転登記手続きをせよ。
②訴訟費用は被告の負担とする。