• 行政書士と刑法基礎51(横領罪)

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行政書士と刑法基礎51(横領罪)

行政書士と刑法基礎51(横領罪)
横領罪には業務上横領罪、単純横領罪、占有離脱物横領罪がある。
 横領罪の保護法益は
 ①所有権
 ②委託信任関係
である。
 ◯単純横領罪の要件
 ①他人の所有する物
  不法原因給付物は所有権はない。不法原因給付物とは違法な
  目的のために給付(委託)された物のこと。よくあるのが賄
  賂目的の金銭。(銃器、覚せい剤など)、窃盗品は該当しな
  い。不法原因給付物の場合には、返還請求ができない。→所
  有権はすでに委託者にはない→所有権は受託者に帰属する、
  というわけである。つまり、不法原因給付物は「他人の所有
  する物」ではなく「自己が所有する物」となるわけである。
  一般的な金銭の委託は民法どおり占有者が所有者となるた
  め、受託者が委託金銭の所有者となり「他人の所有する物」
  ではないが、目的・用途を定めて寄託された金銭の所有者は
  寄託者にあるので「他人の所有する物」なる。
 ②自己の占有
  事実上の占有だけでなく、法律上の占有(を預金や登記)含
 む。
 ③委託関係
  違法な委託関係も含む
 ④横領行為
  横領行為検討時点で不法領得の意思についても検討すること
  になる。横領罪には未遂犯がないので、侵害結果((他人
  の)所有権侵害)が必要。
 ⑤故意
(⑥不法領得の意思)
  不法両得の意思は横領行為と同じ。
 ◯業務上横領罪の要件
  ①他人の所有の物
  ②自己の占有
  ③業務性
   単純横領罪(委託関係)とは異なっている。
   業務性⇒㋐社会生活上の地位に基づき反復継続して行わる
       ものであること㋑他人の物を占有することを内容
       とするものであること
  ④横領行為
  ⑤故意
 (⑥不法領得の意思)