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行政書士と税法26

行政書士と税法26日本の所得税法には、会社が「年末調整」を行う仕組みが定められている。日本の会社は源泉徴収制度によって、税金を前取りされるのみ
ならず、納め過ぎ、あるいは不足する場合は年末に会社が調整しなければならないのだ!
しかし、年間所得が2000万円以上、2か所からもらっている給与所得が20万円以上の給与所得者は自ら確定申告しなければならない。
実際は日本の給与所得者の殆どは対象にはならず確定申告をすることはない。日本で確定申告している給与所得者は300万に満たない。
アメリカは申告納税制度であるが、年末調整の仕組みはない。ただし、源泉徴収はされる。
話は変わるが、源泉徴収制度は憲法違反ではないかという主張も当然ある。源泉徴収を怠ったとして告訴された刑事被告人から裁判が提起
されたのである。裁判は、告訴された刑事被告人が敗訴したことは言うまでもない。
源泉徴収の法律関係であるが、源泉徴収を行う支払者と従業員の法律関係は国との関係ではなく、民法が適用される「私法」の関係である。
しかし、支払者と源泉徴収納税先の国との関係は「公法」の関係になるのである。ということは、支払者が納得いかない場合は国に対して
不服申立や訴訟で争うことが法律上はできるのである。しかし、最高裁判所の判例により、支払者は「納税告知処分」され、源泉徴収しな
かった分全額を納税することになる。なんという不条理だろう。ひょっとしたら、世の中の本質は「不条理」なのかもしれない。