行政書士と刑法の基礎24(抽象的錯誤)
具体的事実の錯誤=認識事実と実現事実が同一犯罪内(同一構成要件内)で不一致である。
同一犯罪内(同一構成要件内)では不一致でない場合の錯誤=抽象的事実の錯誤である。つまり、簡単に言えば認識事実と実現事実が異なる犯罪で不一致であるときの錯誤
具体的な事例で示すと
「殺人の故意(認識・認容)」で「器物損壊の結果」を発生させた場合,それぞれは殺人罪(刑法199条)と器物損壊罪(刑法261条)とで別の犯罪(異なる構成要件)にまたがる錯誤なので抽象的事実の錯誤となる。そういわれれば、確かにそうだ。
前回の記事によれば,錯誤は同一犯罪内であれば故意になる。
しかし,今回は同一犯罪内ではないので故意は否定され、過失犯になる。
つまり、殺人罪については故意があり結果が実現していないとして未遂犯に,器物損壊罪は故意はなかったが結果があるので過失の器物損壊罪になる。器物損壊罪は過失犯の規定はないので不可罰ということになる。なるほど、そうかということになる。
まとめると,殺人未遂罪だけが成立する。
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