行政書士と法定後見⑫
任意後見契約を締結しただけでは、任意後見は問題なく進展しない。
どうしてと、お思いになる方がいらつしゃると思う。
結論から言うと、任意後見契約は「公正証書見守り契約」を締結しないとうまくいかないのである。
見守りながら、定期的にコミュニケーションをとり信頼関係を築くことにより、本人の変化にいち早く気づき、任意後見開始のタイミングを見極めることができるのである。
任意後見契約を結んだときには、本人にも判断能力があるが、実際に任意後見契約がはじまるのは、本人の判断能力が衰えてからになるからである。
生前事務委任契約まで必要はないと考える場合でも、任意後見契約とセットで結んでおきたいのが「見守り契約」なのである。
法律に規定はないが、任意後見契約と同様、見守り契約も公証人に作成してもらう公正証書にしておくべきである。
見守り契約書(例)
弁護士松本卓也を甲、○○○○を乙として、甲及び乙は、以下のとおり契約をしました。
1、乙は、少なくとも、月1回、電話あるいは直接の面接により甲の安否を確認することとします。
2、甲は、日常の暮らしにおいて生じる簡易な法律問題に関し、月3回程度までを目処に、乙に相談することができます。
3、甲は、乙に対し、本契約に基づく報酬として、月1万円(消費税別)を支払います。
4、この契約の有効期間は1年とし、甲あるいは乙から申し出がない場合には当然に更新されます。
但し、この契約は、基本的に甲が自分で財産管理や生活面の手配を適切に行うことができるまでの期間とし、適切に行うことができなくなったときには、別途、財産管理契約ないし任意後見契約を締結して移行する場合を除き、甲乙間の契約関係は終了することとします。
年 月 日
甲 住 所
氏 名
乙 住 所
氏 名
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