行政書士と法定後見⑧
私は、直葬と書かれた不思議な名刺を持っている。直葬と書かれた名刺は法定後見人の私にとって非常に重要な名刺なのである。勘がいい方は、すぐわかるはずだ。
直葬とは弔いのない特別な方法なのだ。
私は、高齢の被後見人の後見人なので必要不可欠なのである。
私は、後見人を引き受けた時から直葬業者を探していたのだが、やっと探し当てたのである。これで私が懸念していたことがやっと解決したわけである。
直葬業者の事務所で手続き。後見人の登記事項証明を差し出すとコピーをとった。直葬の手続き、つまり、市での火葬許可の手続きに後見人の登記事項証明書が必要らしい。
「どのくらい件数やるの年間」私は世間話を始めた。
「100件くらいですかね。弁護士さんや司法書士さんもお出でになります。」業者はこともなげに言った。
「100件も。ああ、日本も酷い国になったんだね。」私は暗澹たる気持ちになった。
「自分の子供の遺骨を引き取らない人も多いです。今の日本は酷いもんです。」直葬業者はどういうわけか付け加えた。
「本当!」私は思わず声を上げた。
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