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小説 行政書士デジタルアーミー(最終回)

小説 行政書士デジタルアーミー(最終回)
https://www.hb-j.jp/news/detail.html?id=780
  パトカーがやって来て、悟の近くで止まった。
パートカーから私服の警官らしい男が降りて悟の方に向かって歩きだした。
「サイバー防護隊の香川です。先だってはお世話になりました。」私服の警官は悟に頭を下げた。
「香川さん。どうして?僕はあなたとは初対面ですが・・・」悟は不思議そうな顔をして言った。
「「警察庁国際テロ対策強化要綱」により、申し訳けありませんがあなたに対して防諜活動をさせて頂いております。」香川は事務的な口調で言った。
「え! どうして、僕が日本の警察の防諜の対象になるんですか?」悟は少し声を荒げて言った。
「実は、あなたに連絡よこした外国人女性は米国のNSA職員です。無線諜報(シギント)部隊で活躍した後にNSAに入局。10年ほどのキャリアを積んで、同じ仕事で活動していた女性なんです。
スノーデンを諜報員に教育した米国では危険人物視されている女性で、マリア・ストラウドという女性です。最近、アラブ首長国の違法諜報活動を暴露したのは彼女なんです。」香川は縷々悟に説明をした。
「え! 全く知りませんでした。彼女は日本のデジタル庁の職員とばかり思っていました。」悟は信じられないような顔をして言った。
「あなたのiphoneに彼女はマルウェアを仕込んだはずです。」香川は悟の顔をじっと見た。と、やってきたパトカーからドローンが空中に舞い上がった。悟は真夏のギラギラした太陽を見上げた。期せずして悟の体中から汗が噴き出した。悟はゆっくりとした歩調で渋谷の街を何事もなかったように歩き出した。(完)

2022/7/12