法律コンビニ!街の法律家として皆様のお役に立ちたい。

小説 行政書士デジタルアーミー第17話

小説 行政書士デジタルアーミー第17話

 iphoneをいじっていると、事務所の電話が鳴った。

「はい、鈴木行政書士事務所ですが。」悟は子機を手にしながら言った。
「突然、お電話差し上げてすいません。自衛隊のサイバー防護隊ですが、お時間よろしいですか。」丁寧な言葉使いだった。

「サイバー防護隊ですか。」悟は不安げに言った。

「驚かせてすいません。2003年に自衛隊内に設立されたサイ
バーテロ対策部隊の香川と申します。たいしたことではないんです。」香川は悟を安心させるように言った。確かに香川の声は優しい。

「NSAの女性職員が、英『ロイター通信』に実名を出して登場し、アラブ首長国連邦(UAE)が、自国の反体制派だけでなく米国民まで、ハッキングを駆使した監視の対象にしていることを暴露した。」というニュースをご存知ですか。」香川の口調はあくまでも丁寧だった。

「知りません。」悟はそっけなく言った。サイバー防護隊などと関係を持ちたくなかったのだ。

「そうですか。ニュースは世界的にも大きく報じられ、波紋が広がっているのでご存知かと思いまして。ぶしつけなお電話をさしあげましてすいませんでした。お許しください。」香川は悟に丁寧な口調で詫た。

「僕と何か関係があるんでしょうか。」悟は香川に確認するように言った。

「とんでもございません。あなた様とは全く関係ありません。申し訳ございませんでした。」香川は悟を安心させるように言って、電話を切った。

悟はさっそく、「サイバー防護隊」をネットで検索。
検索結果は「陸上自衛隊の電算機システムをサイバー攻撃から防護することおよびサイバー関連情報に関する調査研究を主たる任務とする。2000年(平成12年)に発生した中央省庁ホームページ改竄事案を機に設立された部隊であり、陸上自衛隊におけるSOCに相当する。」要するにハッカー対策部隊だった。

「おそらく、NSAの女性職員が日本のネットに潜入したんだな。
そして、ゼロディサイバー攻撃を行った。「カルマ」という攻撃ツールが使われた。俺のiphoneに侵入しようとしたが失敗した。」悟は想像をめぐらし始めた。
「でも、何故、俺のiphoneなんだ?」悟は心の中で呟いた。

2022/7/5