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202X年 ある日の行政書士 第17話

202X年 ある日の行政書士 第17話

 隆が居住しているのは40階建てのタワーマンションである。東京湾・東京タワーが見える贅沢な眺望の都心湾岸タワー。コンシェルジュやフィットネスジム・カーシェアリングなど共用設備も充実している。

 家賃は17万円程度。隆の稼ぎでは経済的にはほとんど問題ない。隆の事務所は都心にある。レンタル料は月15万円。月32万円の固定費である。固定費を節約すればよいのであるが、運よく、大企業の社長に気に入られて安定した収入を得ているので差程固定費は気にならない。

 隆が自分のマンションのドアの前に立つと、オートドアが開いた。居室に入ると自動で明かりがついた。隆のメイン業務は、行政書士の独占業務になったビックデータを扱う仕事、暗号資産関係、ブロックチェーン技術を利用した文書の作成等の巨額な収入を得ることができる業務である。

 隆の稼ぎも、同僚行政書士オルガに劣らない。高難度業務に目つけたのが成功の始まりだった。

 部屋に入ると冷蔵庫からお気に入りのヨーグルトを取り出してテーブルの上に置いた。酒を飲んだ後は必ずヨーグルトを食べる。隆のルーティンだった。

「データの整合性がない?どういう意味だ。」隆はヨーグルトをスプーンですくうと心の中で呟いた。

2022/2/26