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202X年 ある日の行政書士第12話

202X年 ある日の行政書士 第12話
「実は・・・」老紳士は、自筆証書遺言作成の経緯を話始めた。
「自筆証書遺言は次男に強制的に書かされたのです。私の意志に反して、私の全財産を次男に相続させるということでした。長男が自筆証書の内容を見て訴訟を起こすは確実なんです。悪たれが・・」老紳士は言葉を吐き捨てるように言った。
「自筆証書遺言は撤回することができます。それに、次男が全財産相続することはできません。遺留分があります。自筆証書遺言を撤回するためには、自筆証書遺言の方式に従い、「○○年○○月○○日付自筆証書遺言を撤回する」ことを明記した部分を含む全文と、日付、署名を自書して印を押した書面を作成することになります。
ただし、遺言の撤回は、遺言の方式に従ってさえいればよいので、自筆証書遺言を撤回するときには、必ず自筆証書遺言の方式によらなければならないということはありません。自筆証書遺言を、公正証書遺言の方式で撤回したり、秘密証書遺言の方式により撤回することも可能です。」隆は老紳士にわかりやすく説明した。

「あ 撤回できるんですか。」老紳士は安心したように言った。
「秘密証書遺言?」老紳士は不思議そうな顔をして隆の顔を見た。

「秘密証書遺言の最大のメリットは遺言の内容を秘密にしたまま、公証人に遺言の存在を証明してもらえることにあります。
 公正証書遺言では遺言の内容、相続財産の内容を公証人及び証人2名に公開しなくてはなりません。また自筆証書遺言では、その遺言が本当に被相続人が作成したものなのか争いになる恐れもあります。遺言の内容を第三者に知られることなく、かつ遺言が作成者本人によって作られたことを証明できることが秘密証書遺言の1番のメリットと言えます。ただ、秘密証書遺言は公証人は遺言内容までは証明してくれません。」隆は老紳士の不安げな顔
みながら言った。

「ただ、問題は、私が恐れているのは、兄弟間で争いが起こることなんです。」老紳士は顔をしかめた。

2022/2/21