202X年ある日の行政書士 第2話
仙台駅東口前にある待ち合わせ場所のカフェで待っていると、時間に遅れてオルガやってきた。
カフェはライブ会場から7〜8分のところにあった。温かみのある落ち着いた内装や照明、 スピーディーな商品提供と気持ちのよいサービス、 カフェベローチェが作り出す快適空間だった。
「ごめんね。事務所を出ようしたら、来客。マーフィの法則ね。」オルガは白い歯を見せ微笑んだ。
オルガはロシア人であるが、2歳の時に東北大学教授に招聘された物理学者の父親に連れ立って、母と兄の家族とともに仙台市
にやって来たのである。驚いたことにには、オルガは司法試験に合格している弁護士有資格者である。
理由はよくわからないが、オルガは弁護士登録はしていない。行政書士試験を受験して合格して行政書士登録した異色のロシア
人女性行政書士である。
オルガはロシア人であるが2歳の時から仙台に住んでおり、学校も高校まで日本人と同じだった。そのせいもあってオルガは完全に日本人だった。
オルガが席に腰を降ろすと、隆は店内仕込みのサンドイッチとブラジル、コロンビア、グアテマラなどの豆をバランスよく配合したブレンドコーヒーを注文。コーヒーとサンドイッチは、すぐ運ばれてきた。
「客が、デジタル遺言をしたいと言い出してね。」オルガは飲みかけのコーヒーをテーブルに置くと言った。
「デジタル遺言?」隆は驚いたように、オルガの彫りの深い顔を
見た。
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