法律コンビニ!街の法律家として皆様のお役に立ちたい。

マイナンバーカードと行政書士①(マイナンバーカード特権)

マイナンバーーカードと行政書士(マイナンバーカード特権)
マイナンバーカードについては、行政書士には特権がある。
特権には
①行政書士に報酬を支払った場合は源泉徴収が必要ない。⇒報酬に対する税額を国に納付する必要はない。

②通常は、源泉徴収等について記載した「支払調書」という法定調書を作成して税務署に提出するのだが、行政書士に対する報酬に対する税額については、その必要はない。

上記特権は、士業の中で行政書士のみである。
理由は

所得税法第204条第1項第2号

居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。

弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務関する報酬又は料金

この規定の中に「行政書士」の記載はありません。

また、「その他これらに類する者で政令で定めるもの」に関して、政令である所得税法施行令においても「行政書士」の記載はありません。

所得税法施行令第320条第2項

法第204条第1項第2号に規定する政令で定めるものは計理士、会計士補、企業診断員(企業経営の改善及び向上のための指導を行う者を含む。)、測量士補、建築代理士(建築代理士以外の者で建築に関する申請若しくは届出の書類を作成し、又はこれらの手続きを代理することを業とするものを含む。)、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人若しくは自動車等損害鑑定人(自動車又は建設機械に係る損害保険契約(保険業法第2条第4項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第9項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第18項に規定する少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。)又はこれに類する共済に係る契約の保険事故又は共済事故に関して損害額の算定又はその損害額の算定に係る調査を行うことを業とする者をいう。)又は技術士補(技術士又は技術士補以外の者で技術士の行う業務と同一の業務を行う者を含む。)とする。

ただし、この規定からわかるように、建築代理に関する業務を行う場合には、源泉徴収が必要になる。

なぜ、同じ士業でも行政書士だけ源泉徴収が不要なのかは疑問である。

余談になるが、デジタル社会の到来に伴って、マインバーに関する行政書士業務は増加してくるものと予想される。

マイナンバー業務を中心に取り扱う行政書士事務所や、マイナンバー業務を専門分野とする行政書士は少ないので、マイナンバー業務を専門分野とした行政書士を目指していくのも狙い目かもしれない。

行政書士のマイナンバーカード業務には次のようなものがある。
〇企業がマイナンバーに対応した就業規則を作成したいという場合の相談、アドバイス
〇企業がマイナンバーの取り扱いについての社内規程を策定する際の相談、アドバイス
〇従業員のマイナンバーの収集、保管、利用、提供、破棄等を適切に行うための相談、アドバイス
〇医療機関や介護施設運営者や管理者の方が入院・入所している患者や利用者のマイナンバー通知カードの取り扱いをどうすれば良いか困っている場合の相談、アドバイス等

2021/3/13