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プロ行政書士⑬(ADR代理権)

プロ行政書士⑬(ADR代理権)
https://www.kantei.go.jp/.../kent.../adr/dai37/37siryou9.pdf (ADR代理権に対する日弁連の立場)
上記URLのADR代理権に関する日弁連立場は、上から目線そのもの
で読んでいて、行政書士の私としては、あまり気分が良いものではない。

7 行政書士
手続代理業務を認めるべきではない。
固有の職務は、官公署に提出する書類その他権利義務または事実証明に関する書類の作成である。これに付随して書類の提出の代理や作成の代理が認められているに過ぎない。行政書士の専門性は、基本的に対行政庁の申請や書類作成であり、それ以外の面で弁護士に準ずるないしその業務を補完するような高度の専門性は認め難い。一般の法律問題についても、民‐民の紛争解決に携わることは予定されていない。従って、ADR 手続代理を業として認める相当性に乏しく、また必要性にも乏しい。(抜粋)
まさに、一刀両断、手厳しい。

https://www.kantei.go.jp/.../adr/dai37/37gijiroku.html (司法制度改革推進本部が開催した「ADR代理権検討会」の記事録)
参考までに、司法制度改革推進本部が開催した「ADR代理権検討会」の上記URL議事録には、つぎような記述がある。

日行連 宮内会長
日本行政書士会連合会の会長の宮内一三でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まず初めに、この司法制度改革推進本部ADR検討会が本日まで37回と長期にわたって裁判外紛争解決手続の御検討をされてきたことに対し、敬意を申し上げますとともに、今回その代理権について私どもへの発言の場を設けていただきましたことを、厚く感謝申し上げます。
 それでは、私どもの考え方をお手元の資料に沿って御説明させていただきます。表紙をめくって、右下に2とあるページを御覧ください。
 行政書士は制度が制定されてから半世紀にわたり、身近な街の法律家として極めて広範囲な行政手続や権利義務関係の書類の作成を行ってまいりました。3万8,000人の会員に地域的な偏在もなく、地域密着型な基本的なリーガルサービスの提供や相談を通して、国民の権利擁護を担ってまいりました。このような行政書士がADRの一端を担うことで、この制度が国民にとってより身近な、利用しやすいものになるものと思います。日本行政書士連合会、略して日行連と呼びますが、日行連は裁判外紛争解決手続の制度普及に積極的に貢献するために、基本方針として認証紛争解決事業者となり、併せて当事者の代理業務を行政書士が行えるよう改正を要望してまいります。
 では、まず紛争解決支援における行政書士の専門性について御説明申し上げます。3ページを御覧ください。
 行政書士は大きく分けて、A官公署に提出する書類を代理人として作成すること、B権利義務・事実証明書類を代理人として作成することを業務としており、特にBについてでございますが、権利義務・事実証明の書類とは、権利の発生や存続、変更、消滅を生じさせることを目的とする書類、それから実生活に交渉を有する事実を証明するに足る書類のことを指します。例えば、各種の契約書や交通事故の損害調査報告書などがあります。ここが、民民間で紛争が生ずる可能性が高い分野であり、紛争解決の場で専門家である行政書士が国民の皆様をサポートできる部分でもあります。
 次に行政書士の専門性を活かして、これまでの紛争解決支援がどのように関わってきたか御説明させていただきます。4ページを御覧ください。
 ここでは5つの項目を挙げました。
 1つ目としまして、書類を作成するまでの過程において、関係者間の意見調整の支援などを行ってきたことです。行政書士は、書類の作成を代理人として行うことを業務としておりますが、依頼者の口述をそのまま書類にするということはまれで、書類作成の過程においては当然法的な判断に加え、紛争の予防措置を講じ、関係者間の利害調整の支援を行ってまいります。弁護士の先生方は、主に法的紛争をもった事案を取り扱っておられますが、行政書士はその紛争が極力生じないように、事前に予防する役割を担っています。つまり、弁護士と私ども行政書士の取り扱い業務は、ある意味では事前・事後の関係にあると言えます。
 2つ目といたしまして、各都道府県行政書士会、通常単位会と言いますが、ここにおいて常設・非常設の無料相談を実施しております。ちなみに、毎年10月制度強調月間に全国一斉に開催しています無理相談では、平成15年度の実績といたしまして、総件数で7,549件あり、そのうち相続、離婚、権利義務に関する相談が4,582件で、全体の61%くらいを占めております。
 3つ目としまして、民事調停委員や家事調停委員に選任されて活動している会員がおるということでございます。
 4つ目としまして、著作権ADRセンターを立ち上げ、著作権に関する紛争事案についての相談や和解、あっせんの申込みを無償で行っております。
 5つ目としまして、日行連研修センターや各単位会における司法研修の実施が挙げられます。日行連研修センターでは、平成15年度より大学、大学院と連携し、全国規模に実施しており、民法、家事審判法などを受講しております。また、各単位会でも独自の司法研修を実施し、会員の資質の向上を図っているところでございます。
 次に5ページ目の日行連の裁判外紛争解決事業の構想については、本日のテーマが代理権の付与についてでありますので、ここでは説明をちょっと省略させていただきます。
 それでは、行政書士による当事者代理に関する考え方に入ります。
 まず、行政書士による代理の必要性について御説明させていただきます。6ページを御覧ください。
 ADRの機関の利用者の中には裁判によらない解決方法であるけれども、法的判断が必要なので近くの専門家に代理をお願いしたいであるとか、代理を頼むにしてもできるだけ報酬費用を抑えたいといった要望、あるいは仕事を持っていて時間的な余裕がないとか、紛争の場に自ら出ていくこと自体がちゅうちょする方もいらっしゃると思います。つまり、国民の要望としては、信頼性は勿論、アクセスを含め、利用しやすく、経済的でもあることであろうかと思います。
 そこで、僭越ではございますけれども、弁護士と行政書士の状況を比較してみますと、表にありますとおり、行政書士は会員数も多く、偏在性も低く、全国各地に事務所がございます。費用も比較的に抑えられるといった特徴があります。全国各地で法律サービスを提供できる体制にあること、そして専門業務や無料相談などにより、身近な町の法律家としての信頼性を培ってきたことから、行政書士による裁判外紛争解決手続の当事者代理が期待されているものと確信しております。
 次にこの代理についての全体的な構想を説明させていただきます。7ページを御覧ください。
 先ほど申し上げましたが、国民の期待に応えるべく行政書士に認証紛争解決事業者の下に実施される一定範囲における裁判外紛争解決手続の当事者代理を業として行うことができることにしていただきたいというのが私どもの要望の趣旨でございます。
 今、一定の範囲内と申し上げましたけれども、すべての紛争事案について行政書士が単独で代理を行うというものではありません。一定の枠や条件が必要であると考えております。
 まず、能力担保措置として、必要な研修を受講・修了した者のみに代理業務を認めさせます。更に、事案によっては弁護士の先生方の助力を得るよう、弁護士会と協力体制を構築してまいりたいと思っております。
 次にどのような事案について取り扱うかについてでございますが、行政書士の専門性が広範囲にわたることから、個別対象分野を定めることはなじまないと考えております。その代わりに、一定の対象範囲を設け、その枠内で活動をすることを考えております。これについては、イメージ図が8ページにございますので、御覧になっていただきたいと思います。
 図の点線以下の網かけ部分、このわずかな範囲における代理を行政書士に認めていただきたい。線引きは簡裁訴訟代理権の範囲とされる140万以下の事案を想定しております。簡易で少額な部分で、しかも認証事業者の下で行われる裁判外紛争に限る事案について認めていただくことで法律サービスの更なる充実につながっていくのではないでしょうか。
 続いて、行政書士に関わっている事例を御説明し、御理解を賜りたいと存じます。9ページを御覧ください。
 事例1として「外国人に関わるトラブル」を取り上げてみました。外国人の入国者数は平成11年では490万人であったのに対し、平成15年には572万人を超えております。4年間で82万人も増加したことになります。国籍で言いますと、上位から韓国、中国、アメリカとなっております。
 行政書士は特定の研修を受けて、行政書士の専管業務として、この外国人の入国、在留手続を行っております。外国人の方々はその手続を取り扱った経緯から、行政書士にさまざまな相談をしてまいります。つまり、一次相談先になっているのです。何人かの行政書士の会員に聞いてみますと、相手の日本人が離婚に応じてくれないであるとか、雇用先からいわれのない理由で解雇されたが、未払い賃金があるといったものが多いようでございます。
 外国人の方が日本での争いごとに巻き込まれたり、人権を侵害されるような事態になったときに、身近に自分のことをよく知ってくれる法律専門家が側にいて相談できるという環境は、異国で言葉がわからず、生活環境も違う中にあっては非常に心強いものであります。国際私法や準拠法に詳しい行政書士による代理が認められれば、これ以上のサポートが可能になり、実情に即した迅速な解決に大いに役立ちます。更に、言葉の問題などから紛争の相手方や手続実施者にとって理解をしやすくなるとも言えます。
 次に10ページを御覧ください。
 事例2として、「交通事故分野」を挙げました。交通事故は突然我が身に振りかかってくるものです。死亡事故は減少しておりますけれども、逆に負傷者数は増加の一途をたどっています。60年には68万人だったものが、平成14年には116万人にも膨れ上がっております。損害保険料率算出機構の調査によりますと、平成14年度のデータでは自動車事故のうち、軽度障害が全体の87.1%を占めております。また、その軽度な部分への弁護士への関与は比較的少ないものと伺っております。被害者となった方々は、一般に交通事故や保険制度に関する知識が余りなく、示談に際しては自分が被った被害に対する適切な賠償額や検証が困難です。そして、加害者側の加入している保険会社の提示をそのまま受け入れるケースが多いのが現状でございます。
 そこで、行政書士は被害者のために、自賠責手続や医療調査、事故原因調査などを行い、損害の全体像を明らかにすることで損保会社との事務手続も円滑に早期の解決に努めており、自賠法の趣旨である被害者の権利保護に貢献しております。
 しかし、不幸にも紛争という事態になった場合には、裁判外での解決手段として自賠責保険・救済紛争処理機構や交通事故紛争処理センターなどの機関が利用されています。その場において、加害者側は本人に代わって保険会社の担当者が出席できますが、被害者の損害の全体像を明らかにする調査報告書の作成などに携わっている行政書士は単独では出席が現在は認められておりません。つまり、被害者本人が会社や家庭を犠牲にして、何度も話し合いの場に出席するか、新たに弁護士さんに依頼するかの選択しかないのです。被害者の実情や被害の実態をよく把握している行政書士による代理を認めていただければ、実情に即した迅速な解決につながり、被害者の救済に大いに役立つものと確信しております。 
 最後に能力担保措置の1である研修制度の御説明をさせていただきます。11ページを御覧ください。
 形態としては、現在実施している日行連研修センターでの司法研修を拡充する方向で考えております。
 科目については、関係法令は勿論のことでございますが、司法倫理や調停技術などの研修も行います。現在は、雑駁な計画になっておりますが、今後所管省庁や弁護士会、実務精通者の方々とも協議しながら進めてまいりたいと思います。
 以上が資料の説明です。
 終わりになりますけれども、現在のように高度で複雑化している社会では、細分化が多方面にわたって進み、産業界はもとより社会生活全般に及んでいるとも言えます。この中で、各隣接士業はそれぞれの分野の専門職者としての活動を通し、国民に役割を認めていただいております。ADRの参入が行政書士としての知識だけで行えるものではなく、先ほど申し上げましたが法的解決能力を高め、併せて弁護士会や弁護士の助言を受けられる手当も構築し、日ごろ国民から寄せられるさまざまな紛争相談の中から今日御説明した分野における当事者のサポートをする助言者として認めていただきたく、微力ではありますが、ADRの活用範囲が広がりますよう努力してまいる所存でございますので、何とぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。(抜粋)

日弁連の意見と日行連の意見を比較すると、日弁連の意見には国民目線というものが欠けているような気がすると私は思う。
日弁連よりも日行連の意見の方が全うであると思うのは私だけだろうか?

結局、残念ではあるが、社労士、税理士にはADR代理権は認められたが、行政書士はADR代理権は認められなかった。何故だろうか?

2020/12/31