法律コンビニ!街の法律家として皆様のお役に立ちたい。

天才行政書士VS弁護士第19話

天才行政書士VS弁護士第19話
 朝、相川 奈美から電話があった。
「おはよう、結論から言うとね新聞掲載の件、バードウッチンング山の件。支局長から駄目出し。」相川 奈美は申し訳なそうに言った。

「予想どおりだよ。」江尻は事もなげに言った。
「支局長の話だけど裏があるらしい。」相川 奈美は声を低めて言った。

「常識的に考えて、地元新聞紙が取り上げたくない話題だね。僕の経験から言わせてもらうと、地元新聞紙って、意外と保守的なんだよね。それに、行政と密接な関係がある。」江尻は冷静な口調で言った。

おそらく、訴訟地は、行政と関係があるマターなのだろう。マスコミと行政の連携には、江尻はいやというほど痛い目にあわされ苦い経験を幾度もさせられたことがあるのである。

地元紙が掲載したい新聞ネタは、一般市民が好みそうなイベント情報など軽い話題ばかりだ。訴訟事件なんて絶対に取り上げない。

地元紙は、エンターメントという無難な路線を取るのが普通なのだ。

相川 奈美の情報によれば、地元紙は、訴訟事件の裏側についての情報を持っているらしい。弁護士も馬鹿ではない。それなりの勝算があって動いているはずだ。

「ひょつとしたら。訴訟地に行政がからんでいる。そうなると、やっかいなことになる。いや、そんなことはない。」江尻は脳裏に浮かんだ疑念を打ち消した。

屋敷の庭に車が止まる音がした。車には、いわき市農政課と書いてある。車のドアがしまる音がするとメタルフレームの眼鏡をかけた真面目そうな中年の男が車から降りた。

2020/8/11