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天才行政書士VS弁護士第9話

天才行政書士VS弁護士第9話
改めて、弁護士法人からから送付されてきた文書を読むと、はっきりと「共有地」と記載されている。
どうやら、弁護士法人には、「入会地」という認識はまったくないようだ。
そもそも、共有地分割請求訴訟を提起する事例は殆どない。今回の訴訟事件は、異例と言ってもよい。にもかかわらずである。
入会地における土地の所有権は特別なのである。弁護士法人から送付されてきた文書を読んだ殆どの土地関係者は、共有地に関する訴訟事件と思ったに違いない。
民事訴訟法の観点から考察すると、民事調停を提起する方法もあるが、今回の訴訟事件に関する事例の場合、調停員が入会地に関する知識が殆どないことを考慮すると現実的ではない。
問題は、「共有地分割請求」訴訟は、調停前置主義ではないということである。すなわち、調停という過程を経ないで即訴訟できるということだ。
しかし、私が理解できないのは、仮に訴訟地が共有地だと仮定した場合、何故、面倒な遺産分割協議を経なければ訴訟は提起できない「共有地分割請求」を選択したかということだ。
すぐ考えつくことは、面倒な土地交渉をしたくなかったのでないかということである。
今回、交渉窓口を一本したので相続人の数が多いので土地交渉は不可能であるとの理由により、「共有地分割請求」訴訟を提起することはできないはずだ。
江尻の脳裏に、何度か会ったことのあるいわき開発社長の不敵な面構えが浮かんだ。

2020/8/1