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行政書士と債権法改正⑩消費貸借、賃貸借

行政書士と債権法改正⑩消費貸借、賃貸借
消費貸借に関する大きな改正は
〇目的物の引渡しをするいわゆる「要物貸借」(旧法587条
 の他に
 新たに587条の2を追加し,合意により成立する「書面でする
 消費貸借」の規定を新設したことだろう。なお,電子メール
 等の電磁的記録も「書面」とみなされる(同条4項)。
 新法587条の2の追加に伴い,規定の必要性が低くなったとし
 て,消費貸借の予約に関する旧法589条は削除されたが,消
 費貸借の予約は,契約自由の原則2から依然可能である。
〇損害賠償請求権が認められた。
 新法は,目的物受取前の解除(新法587条の2第2項前段)と
 目的物の期限前返還(新法591条1項)の場合に,貸主の損害
 賠償請求権を認めた(新法587条の2第2項後段,新法591)。
賃貸借
〇賃借存続期間が20年から50年に伸長された(新法604条1項)。
〇新法では,賃借人の帰責事由によらない目的物の一部滅失の
 場合,賃借人の賃料減額請求(旧法611条1項)をまたず,当
 然に賃料が減額される(新法611条1項)。
 
 また,一部滅失により使用収益が不能となり,残存部分で,
 賃借人が賃借目的を達成できない場合,賃借人の帰責事由の
 有無にかかわらず,賃借人は契約を解除できるようになった(同条2項)。
 賃借人に帰責事由がある場合,賃貸人の損害は,債務不履行
 の一般原則により損害賠償請求により回復することになる。
〇賃貸不動産の譲渡と賃貸人の地位の移転に関する規定を整備
 し(新法605条の2,新法605条の3),対抗要件を備えた不動
 産賃貸借につき 賃貸人たる地位を譲渡人に留保できる場
 合を明記した。
(新法605条の2第2項前段)。
 
 これにより,賃借人の個別の承諾を得ずに,一種の賃借人の
 個別の承諾を得ずに,一種の転貸借関係が作り上げられる。
〇敷金充当(同
条2項)の規律が整備された。従来的な規律の明文化であり,実務上の影響は基本的にないと考えられる。

2020/6/14