行政書士と債権法改正⑨売買、請負
売買
〇新法では,売主が引き渡した目的物が契約目的に適合してい
ないときには,買主は売主に対し履行の追完請求(新法562
条),代金減額請求(新法563条)が可能となった。
〇旧法の「隠れた瑕疵」は「目的物が種類,品質又は数量に関
して契約の内容に適合しない」場合という概念に置き換えら
れている。
買主の無過失要件は不要となり,目的物が契約内容に適合し
ているかどうかは,当事者の合意や契約の趣旨などから判断
されることとなる。
〇新法562条は,引き渡された目的物が種類・品質・数量に関
して契約の内容に適合していない場合には,買主は売主に対
し,①その修補を請求し,または②代替物若しくは③不足分
の引渡しによる履行の追完を請求することができる旨,規定
している。
〇新法563条は,引き渡された目的物が契約内容不適合である
場合,買主は相当の期間を定めて催告を行い,当該期間内に
履行の追完がない場合には,買主は不適合の程度に応じて代
金減額請求権を行使することができる(同条1項)。
〇新法566条は,買主は売主に対し,物の種類又は品質に関す
る契約内容不適合がある場合の権利行使に関し,不適合を知
った時から1年以内に通知をする必要があると規定している。
〇買戻制度を利用しやすくするため,買戻権行使の際に提供す
べき金額を,当事者間で任意で定めることができるようにな
った(新法579条)。
請負
〇新法634条は,注文者の責めに帰すことができない事由によ
って仕事を完成することができなくなったとき等の場合にお
いて,既履行部分が可分であり,かつ可分な部分の給付によ
って注文者が利益を受ける場合には,既履行部分について報
酬請求権が発生する旨,明文化された。
要約すると,「無過失責任」と「隠れた瑕疵」という概念が消去され,かなり具体的な内容になったのではと感じる。
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