行政書士と債権法改正⑤詐害行為取消権
①被保全債権(仮処分時に保全される債権)
当然のことだが、実現性のある強制執行の際、被保全債権の保全について明文化された。
具体的には、詐害行為前に成立していた委託保証契約について,詐害行為後に発生した事後求償権は被保全債権
に該当することになった。
②詐害行為取消権については平等性の観点から問題があるので詐害行為取消権が認められる要件を明確化した。
③特定債務者に対する弁済や既存債務に対する新たな抵当権の 設定については、支払い不能である場合は、支払
い不能の要件(偏頗行為)を設定し、破産法による否認とはならないようにした。
④過大な代物弁済についても新たな規定をもうけ、破産法との整合性が図られた。
⑤転得者(善意の第三者を経由して受益した者)得た受益については、 債権者を害する場合は、破産法と同様に
否定することとし破産法との整合性を図った。
⑥受益者又は転得者に対する逸出財産の回復または当該財産の返還が困難な場合には価額による償還を行う ものと
し,従前の解釈を明文化した。
⑦⑥と関連するが、逸出財産が動産又は金銭の 場合,取消債権者は受益者又は転得者に対し,引渡 し又は支払いを
直接求めることができる(新法424条 の9)。これにより,詐害行為取消権の行使を通じた 相殺による債権回収
が改正後も可能となった。
⑧詐害行為取消訴訟の確定判決の効力は全ての債権者だけでなく債務者にも及ぶことになった。
⑨詐害行為が取り消されると,詐害行為によりいった ん消滅した受益者又は転得者の権利が回復するものと してそ
の保護を図った。たとえば,債務者の財産処分 (債務消滅行為を除く)が取り消されたとき,受益者 は債務者に
対し反対給付の返還請求等ができるように なった。
要約すると、今回の改正は破産法との整合性に主点が置かれている。
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