小説 田舎行政書士 BCP策定18話
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弁護士事務所の中に税理士事務所と社会保険労務士事務所があった。
どうやら、伊藤社会保険労務士の姉が税理士らしい。
弁護士、税理士、社会保険労務士がいる弁護士事務所はワンストップサービスが完璧にできる。それも、弁護士、税理士、社会保険労務士が家族というから凄い。
弁護士は、税理、労務関係はあまり得意としていないので、税理士、社会保険労務士いる弁護士事務所の弁護士は心強いはずだ。
伊藤社会保険労務士の事務所の中に入った。座り心地のよさそうな黒革の椅子が目についた。
事務デスクの上の置かれている講習会資料を手して伊藤社会保険労務士はソファーに腰を降ろした。
「普通なら、講習会打ち合わせなんか必要ないんですが、今回は新型コロナウィルスの件がありますので・・」伊藤社会保険労務士は江尻に資料のコピーを手渡した。資料はイラストを使ってわかりやすくまとめられていた。
「伊藤先生、そのとおりです。テレワークがポイントですね。僕のBCPの話を関連付けたいと思います。伊藤先生が先に話すのがよいと思います。」江尻はアドバイスするとうなずいた。
約1時間細かい打ち合わせ。事務員が入れたてのコーヒーを二人の前に置いた。しばし、コーヒーブレイクである。
「先生の奥さん凄い美人ですね。ミスコンレベルですね。」伊藤社会保険労務士はコーヒーカップを手にしてチャーミングな笑みを浮かべた。
「ミスコンレベルではないと思います。は。は。」江尻は声を立てて笑った。
「ところで、江尻弘樹君はどうしています。」伊藤社会保険労務士は話題を変えた。
「え、先生どうして、うちの息子のこと知っているんですか。」江尻は驚いたような顔して言った。
「高校の同級生です。東京大学を一緒に受験しました。弘樹君は一発合格。私は不合格でした。第2志望の慶応大学と国際キリスト教大学には合格しましたが。」伊藤社会保険労務士は残念そうに言った。
「慶応大学と国際キリスト教大学は超一流ですよ。凄いじゃないですか。」江尻は手にしたコーヒーカップをテーブルの上に置いた。
「いや、どうしても弘樹君と一緒に東京大学に入りたかったんです。」伊藤社会保険労務士の顔からチャーミングな笑みは全く消えていた。
「うち息子は、検事になりましたよ。正義感の強い奴だから。」江尻は言葉を継いだ。
「弘樹は格好よかった。キムタク以上かも。でも、ばか真面目。そこが欠点よ。久しぶりに会ってみたい。」伊藤社会保険労務士は、一瞬懐かしそうな表情をした。
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