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小説 田舎行政書士 BCP対策第15話

小説 田舎行政書士 BCP策定第15話
着メロはツーコールで止まった。おそらく、妻からの電話だろう。
佐藤医務課長と西庁舎6Fで別れ、エレベータで2Fの県民ホールへ。県民ホールは、県民なら誰でも利用できる。簡易な喫茶店もある。
喫茶店でホットコーヒを注文。iphoneをチェック。やはり、妻からの電話の履歴があった。早速、電話の履歴をクリックすると電話が繋がった。
「あなた、今晩、雪らしい。福島に泊まったら。ビジネスホテル予約しておいたわ。県庁の隣のサンホテル。」妻の心配げな声が聞こえる。
「わかった。サンだね。」外を見ると雪が降り始めている。
「それから、若い女の子がやって来た。25歳くらいかしら。名刺を置いていった。伊藤弁護士事務所 社会保険労務士 伊藤和子」妻は名刺を読んだ。
「伊藤先生が・・」江尻は商工会の講習会を思い出した。
妻は元銀行員だけあって細かいことによく気が付く。おそらく、秘書ならば有能なのに違いない。
妻は仙台出身だった。 ミス七夕に選ばれたこともあるらしい。大学の同級生の妹だ。
「あ それから、携帯基地局の件でお客さんが。」妻は付け加えた。
「あの人かい?調停代理人になれないよ。僕は。」江尻は咄嗟に言った。
「明日、雪が消えたら、福島出発しなさい。」妻は電話を切った。
時計を見ると、いつのまにか午後1時半。江尻は階段を下りて1階の職員食堂に入った。

2020/2/9