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小説 田舎行政書士 BCP策定14話

小説 田舎行政書士 BCP策定第14話
https://www.youtube.com/watch?v=NuKluSrbHik
「このことは、同時に、私たちの万人に対する連帯を定義する。私たちが各人の孤独の権利を守らなければならないからこそ、私たちはもはや決して孤独者にはならないだろう 」(カミュ「自由のテクスト」)
県に出向いてきたので、広田技監を訪問しなければならない。
江尻は佐藤医務課長を伴って西庁舎6Fの技監室に向かった。
政庁から西庁舎に向かう迷路のような通路を通って西庁舎6Fの広田技監の執務室に到着。佐藤医務課長は本庁勤務が長いせいか迷わずに江尻を案内した。
「どうぞ。」執務室のドアをノックする女性秘書の声がした。佐藤医務課長はアポを取っていた。
江尻と佐藤医務課長が技監室に入ると、「あ 江尻先輩。」広田技監は立ってお辞儀をするとソファーを薦めた。
「お忙しいところすいません。」江尻は一礼するとソファーに腰を降ろした。
「感染症対策センターに出向いてきたもんですから。」江尻は話を切り出した。
「わざわざ、お出でくださいましてありがとうございます。」昔と違って広田技監は立派な紳士に成長していた。地位が人を作るのである。
「江尻先輩、新型コロナウィルスの対応ですが・・」さすが広田技監は察しが早かった。
「私は退職して部外者になったので口をきける立場にはないのですが。老婆心ながら。」江尻は謙遜して言った。
女性秘書がお茶をテーブルの上に置いた。
「基本的には、既にある「インフルエンザ対策指針が使えると思います。問題は社会学的なことです。これについては、社会学に精通している佐藤医務課長に。」江尻はゆっくりとお茶を飲んだ。
「問題は、県民の連帯です。県内で感染者が発生した場合ですが、感染者情報を完全に公開することです。それが、県民の「連帯」を生みます。」佐藤医務課長はきっぱりと言った。
と、江尻の宇多田ヒカル着メロが鳴った。

2020/2/8