小説 田舎行政書士 BCP策定第7話
「ルル・・・」電話の呼び出し音が聞こえる。
「はい。技監の広田ですが。」
「江尻ですが、直通電話にかけてすいません。」江尻は素直に電話の相手に詫びた。
「あ 江尻先輩。ご無沙汰しております。年賀状ありがとうございます。元気でやっております。」電話の相手の口調が丁寧になった。
「何時から、技監になられました。」江尻は言葉を継いだ。
「今年からです。知事から聞きました。江尻先輩の強い推薦があったと言われました。強い責任を感じております。江尻先輩の顔に泥を塗るわけにはいきません。頑張ります。」広田技監は自分の決意を江尻に言った。
「は。は。そんなに気負わなくてもいいです。」江尻は笑いながら言った。
「江尻先輩、行政書士の仕事どうですか。」広田技監は話題を変えた。
「自由にやっておりますよ。フリーランスはいいですよ。どうやら、フリーランスが私に向いているようです。」江尻は冗談を言った。
「ところで、広田技監、大変なことになりましたね。」江尻は本題を切り出した。
「そうですね。もう、東日本大震災のような地獄を福島に絶対再現したくありません。知事もそう言っております。」広田技監のは少し感情的になった。
「新型コロナウィルス感染症のコールセンター相談窓口を設置する必要があります。」江尻は広田技監に提案した。
「ありがとうございます。コールセンターの件は知事に提案して早急に対応します。」広田技監は強い口調でいった。
「もう。国に頼れません。県が独自にやるしかないですよ。国は駄目です。あなたが言ったように、福島に東日本大震災の地獄を再現してはなりませんね。」そう言うと江尻は電話を切った。
江尻が広田技監に電話した日の正午のニュースで、福島県が「新型コロナウィルスコールセンター」を設置したことを江尻は知った。
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