小説 田舎行政書士 BCP策定第1話
テレビの電源スイッチをオンすると
真っ黒なパソコン画面が現れた。
江尻のリビングにあるテレビはHDMI方式でパソコンの画面に切り替わるようになっている。HDMI方式で小さなステックPCをテレビに接続してある。つまり、テレビ画面をステックPCのモニターとして利用している。パソコンで仕事しながら、画面を切り替えればテレビも見れるのだ。
画面をテレビモードに切り替えると
「日本で2人目の新型コロナウィルス感染者です。空港の水際チェックが効果を奏しなかったようです。」緊張した面持ちでテレビレポータが報道している姿が現れた。
「だから、言わんこっちゃない。やっぱりな。」江尻は思わず呟いた。
と、江尻の携帯電話が鳴った。
「商工会の木村です。」
「あ 木村さん お世話になっております。」江尻は、咄嗟に言った。江尻は金縁眼鏡をかけた小太りの中年男を思い出した。
「テレビ見ました?」木村氏の不安げな声が携帯から聞こえた。
「実は、商工会としても組合員に情報提供したいと思いまして。」木村氏は、早速、要件を切り出した。
「なんの情報です。」江尻は確認するように言った。
「テレビでやっている新型コロナウィルスです。鳥インフルエンザパンデミックの時、先生がBCP(事業継続計画)を作成したのを思い出したんです。」説明するように言った。
「BCP策定は、どちらかと言えば、中小企業診断士の業務です。私ごときが・・」江尻は断りを入れた。
「よくわらないからと、中小企業診断士に断られたんですよ。先生、お願いしますよ。」木村氏は懇願するように言った。
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