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小説 田舎行政書士 第10話

小説 田舎行政書士 離婚業務第10話

小川 様
早速、公証人役場に出向いて離婚公正証書の作成について公証人と協議したいと存じます。協議の結果、訂正があるかもしれません。できれば来週中にも離婚協議書最終案を作成したいと存じております。最終案はメールでお送り致します。再度、最終案を氏と協議の上ご検討ください。最終案検討結果は、メールでご連絡をお願いします。
今後のスケジュールですが、最終案がOKとなれば、公証人との面会の日程を調整いたします。
面会日程ですが、メールでのご連絡と併せて電話でもご連絡したいと存じております。交渉人との面会の際に持参する手数料及び書類についてもご連絡いたします。
 なお、交渉人との面会は、氏及び佐川 洋子氏が行うことになりますので氏との日程調整が必要になります。公証人が示した日程について都合が悪い場合は、再度、日程を調整することになります。
交渉人との面会の際、公証人の面前で氏及び小川 洋子氏が作成した離婚協議書を公正証書化した公正証書に同意すれば、離婚協議書の公正証書化は完了となります。
メールで訂正依頼ありました件については間違いなく訂正いたしますのでご安心ください。
令和元年9月20日
行政書士 江尻 一夫
江尻は、依頼人にメールを送信した。

結局、離婚協議書案での離婚協議は成立した。問題は、これからなのである。江尻は離婚業務を受託する際、離婚協議書を公正証書化にするオプションサービスを付加することを条件している。離婚協議書だけでは、強制執行できないので単なる紙切れになってしまうからだ。
再度、公正証書案を提示して、依頼人に了承を貰ってから公証人との面談ということになる。まだ、ハードルあるのだ。

特に今回は、年金分割がある。年金分割の手続きは離婚公正証書がないと依頼人1人でできない。いよいよ、離婚協議書の公正証書化ということで、離婚業務は山場に差し掛かったわけである。
「いよいよ、短気な公証人との交渉開始か。」江尻は思わずため息をついた。

2019/12/16