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小説 田舎行政書士 第4話

小説 田舎行政書士 離婚業務第4話
美人の携帯番号、生年月日、夫の生年月日、メルアド、住所、携帯電話番号、勤務先、預金口座、美人と同居している長男、長女の職業及び生年月日を記入して、ヒアリングシートは完成となった。
「あ 長男は特定疾患を患っているんです。」美人は慌てて言った。
江尻は保存して閉じようとしていたヒアリングシートを再び開いた。
「じゃ、特別の支出の項目を設けなければなりませんね。」 江尻は美人にそう言うと、「特別支出」の項目をヒアリングシートに付け加えた。
ヒアリングを終えると
「このクッキー美味しい。貰っていいかしら。」江尻がコーヒー用にテーブルの上の菓子器に入れておいたご自慢の英国産のクッキーを、美人は高級バックに入れた。
美人は、真っ赤なポルシェで帰って行った。
「類は類を呼ぶか。」江尻は心の中で呟いた。おそらく、美人は街中にある行政書士事務所の狭いカウンターで相談するのが嫌だったのだろう。
江尻がHPに掲載している面談室の高級ソファーが気にいったのに違いない。HPにカフェ気分で面談などと調子のよいことを書いておいたからなおさらだったのに違いない。
美人が帰る頃には、江尻の頭の中で離婚協議書案はすっかり出来あがっていた。江尻は1時間もかからないで離婚協議書案を書きあげた。

2019/12/10