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小説 田舎行政書士

小説 田舎行政書士 離婚業務第1話
「私、こんな行政書士事務所探していたんです。」離婚相談に訪れた女性が嬉しそうに言った。
女性は女優と見まがうような美人だった。知性も感じられる。
江尻は、早速、バリスタで入れたコーヒーを女性の前に置いた。
「料金表と委任状、業務委託契約書を見てください。」江尻は事務的な口調で言った。
美人は、早速、委任状と業務委託書を書き始めた。
「着手金はいいです。協議離婚はどうなるかわかりませんので。」江尻は書類を書いている美人に言った。
江尻は、ノートパソコンを立ち上げ離婚相談ヒアリングシートを立ち上げた。
「お名前は?」江尻はノートパソコンの画面を見ながら言った。
「小川 洋子です。住所は・・・・」
どうやら、美人は高級住宅地に居住しているらしい。
「メルアド教えてください。」江尻パソコンの画面で点滅しているカーソルを見ながら言った。
「・・・@yahoo.co.jp」
女性は大切なメルアドを躊躇なく言った。これで、離婚業務の半分はうまくいったことになる。離婚業務は、依頼者のメルアドを知らなければ仕事にならないからだ。
依頼者とメールでやりとりすることによって、効率的に業務を進めることができるからだ。
「慰謝料は、発生するんですか?」江尻は、ヒアリングシートの項目にパソコンのカーソルをやった。
「発生します。」美人は断固たる口調で言った。
「慰謝料の発生原因は何ですか?」江尻は、女性の美しい顔を見ながら言った。
「言えません。」美人は顔を曇らせた。

2019/12/7