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小説 田舎行政書士

小説 田舎行政書士
珍しく、法務局の駐車場に空きがあった。法務局に用があって行くと、
どういうわけか、いつも、満車なのである。
守衛に誘導されて、無事に車を駐車させることができた。
江尻は、土地境界の合意書作成の業務を依頼されて、公図を発行してもらうために、法務局に出向いて来たわけなのである。
「地番はよくわからないのですが、公図がほしいんです。」
江尻は、2階にある登記部門に行き、早速、不愛想な受付の女性に言った。
「住宅地図で調べて、この申請書に記載してください。」受付の女性は事務的な口調で言いい、受付番号札を江尻に手渡した。
電光掲示版に受付番号が表示されると、江尻は受付で提出した申請書を再度受け取り、受付のすぐ脇にある印紙売りさばき所で印紙を購入し、申請書に貼り、受付に再度提出すると、公図を手渡された。
「筆界特定」について相談したいのですが」江尻が受付の女性に言うと
「四番窓口です。」受付女性が窓口を指さした。
「筆界特定申請の代理は、行政書士では代理できないんですよね。」江尻は、窓口で担当者に確認するように言った。
「そうです。筆界特定の申請書は結構大変ですよ。」担当者は江尻にアドバイスするように言った。
「申請書の作成代理できるのは、土地家屋調査士と司法書士ですよね。筆界特定は、ほとんど費用はかからないと聞いていますが。」江尻は手渡されたパンフレット見ながら言った。
「実はそうではないのです。費用がかかるんですよ。GPS測量代金が何十万円かかります。費用かからないというPRが行き過ぎて、本当は困っているんです。」担当官は顔を曇らせた。

2019/11/23