行政書士が解説する遺産分割に関する留意点
遺産分割に関しては、次の点に留意する必要がある。
1 遺産分割しないどうなるのか。
①いつまでも相続ができない。
遺産を活用できないで、固定資産税だけが取られる。
②悪用されるおそれがある。
第三者が「私が真の権利者です」と言って、勝手に不動産
を売却してしまうおそれがあります。このとき、きちんと
登記をしていなかったことにより、相続人が不動産の所有
権を主張できなくなってしまうおそれもあります。
③権利が複雑になる。
共有状態になっていたところ、さらに相続が起こ
って権利が細分化されてしまっているためです。こうし
て、遺産分割をしないことにより、法律関係がどんどん
複雑になって、トラブルの種になります。
2 寄与分を主張する相続人がいる。
寄与分があると主張する相続人が現れると、他の相続人が
寄与分を認めないのでもめてしまいます。
3 特別受益を受けた相続人がいる。
問題ち出すのは、他の相続人です。そして、受益があると
指摘された相続人は「受益はない」と主張します。受益が
あることが明らかであっても、その評価をいくらにするか
ということでまたもめてしまいます。
4 半血の兄弟がいる。
半血兄弟いると、非常に遺産分割でもめやすい。
5 婚外子が相続するためには、認知が必要
6 相続人が海外にいる。
弁護士に代理してもらうと遺産分割がしやすい。印鑑証明
については、外に居住している相続人に在外公館に行って
もらい、そこで「サイン証明書」を発行してもらわなけれ
ばなりません。
7 相続人が未成年の場合
「特別代理人」を選任してもらい、未成年者の代理人にな
ってもらう必要があります。
8 相続人に認知症の人がいる場合
家庭裁判所に申し立てをして「成年後見人」を選任しても
らう必要があります。
9 遺産分割の方法
①現物分割
遺産分割の基本は現物分割です。これは、特定の遺産を特
定の相続人が取得する方法です。たとえば、骨董品は兄、
貴金属は姉、現金は弟、というような分け方です。これで
解決ができたら、トラブルは発生しにくいです。
②代償分割
遺産の内容が不動産の場合などには、不動産の価値が高い
ので現物分割にすると相続人間で不公平になることが多い
です。そこで利用されるのが代償分割です。代償分割と
は、ある遺産をもらった相続人が、他の相続人に対し、も
らいすぎになっている価格の代償金を支払う方法です。た
とえば、兄弟2人が相続人になる事案で、1000万円の不動
産がある場合、兄が不動産を相続して、弟に500万円の代償
金を支払う方法です。
③換価分割
換価分割という遺産分配方法もあります。これは、遺産を
売却して現金で分けてしまう方法です。現金は、法定相続
分に従って分配します。相続人間で話し合っても遺産の相
続方法が決まらない場合、最終的に換価分割することが多
いです。たとえば1500万円の不動産があって兄弟3人が分
けるとき、不動産を売却して、売却金である1500万円を、
兄弟それぞれが500万円ずつもらう、という解決方法となり
ます。
10 相続人調査
亡くなった人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍
謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本などの謄本類を集めない
といけません。これを順番に読み解いて、前妻の子どもや
認知された子どもがいないかを調べます。
また、遺言によって子どもを認知している可能性もあるの
で、注意が必要です。子どもの方から、死後認知という手
続きによって認知請求されることもあります。
11 相続財産調査
不動産を調べるときには、役場に行って「名寄せ帳」
を見せてもらうと良い。金融会社や証券会社から連絡
や明細書が届いていたら、問合せをして取引状況の開
示を受けましょう。サラ金やカード会社からの通知書
が届いていたら、借金などの負債がある可能性もある
ので、注意が必要です。借金を相続したくないなら、
相続放棄なども検討しなければなりません。
江尻 一夫行政書士事務所
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