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行政書士が解説する契約解除

行政書士が解説する契約解除
契約解除の方法として特定商取引法におけるクーリング・オフの手続きは、一般市民でも簡単にできそうだが、実際は、手続きを行った後の業者との交渉が問題である。最悪の場合、再契約させれられしまう場合が少なくない。通信販売などの場合はクーリング・オフ制度は適用されない。クーリング・オフの方法は下記URLの国民生活センターのサイトに詳しい。
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html
通信販売に関するガイドラインがあるので、下記に示す。
通信販売における返品特約に表示に関するガイドライン
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/…/docment/tuushin_he…
インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/…/tuushin_auction.pdf
契約の解除は、特定商取引法におけるクーリング・オフほか、「消費者契約法」、「特定継続的役務提供の中途解約制度」でもできる。
消費者契約法とは
〇消費者・事業者間の情報や交渉力の格差是正を目的として、平成13年4月1日より施行された比較的新しい法律です。 
〇事業者の不当行為(不当な勧誘、不当な契約条項)があった場合、消費者は契約の取り消しや契約条項の無効を主張できる。
〇また、消費者被害の発生・拡大を防止するため、一定の消費者団体に、事業者の不当行為に対する差止請求権を認める制度(消費者団体訴訟制度)が導入されている。
消費者契約法における事業者の不当行為
不当な勧誘
(4条関係) 誤認
1.不実の告知(4条1項1号)
消費者が契約の対象になっている商品やサービスなどについて、内容・品質・効果などの説明、価格や支払方法、その他重要な事項(契約内容)に対して、客観的に説明が事実と違うことを告知し、消費者がそれを事実と誤認した場合。
※たとえば、業者が商品の内容・品質・価格・支払方法などについて事実と違う説明をした場合
2. 断定的判断の提供(4条1項2号)
消費者契約の目的となる、将来確実に財産上の利得を得られるかどうか、判断し難いものについて断定的であるかのような判断を提供した場合。
※たとえば、絶対に・確実に・間違いなく儲かりますよ、などと言われ、契約してしまった場合
3.故意による不利益事実の不告知(4条2項)
契約内容の重要事項に関連して、消費者の利益になることを説明しながら、不利益な部分についてわざと隠し説明しないと消費者が誤認した場合。未熟な営業マンが知識不足で“単に”説明しなかった、という場合は取り消しできないということになってしまいます。⇒ここも本法の問題点!)
※「利益については説明している」ということと、「不利益な部分についてわざと説明しなかった」ということの2つが必要となります。
困惑 4.不退去(4条3項1号)
事業者が消費者の自宅・仕事場などで勧誘しているとき、消費者が「帰ってほしい」など退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、退去しないで、勧誘を続けられ、契約した場合。
5.退去妨害または監禁(4条3項2号)
事業者が勧誘している場所から、消費者が「もう、帰りたい」など退去する旨の意思を示したにもかかわらず、帰らせてくれず、勧誘を続けられ、契約した場合。
※退去すべき・する旨の意思は、「契約するつもりはありません」などでもOKです。また、身振りや態度・行動でもその趣旨がわかればOKです。
不当な契約条項
(8~10条関係) 事業者の損害賠償責任を免除する条項(8条)
〇事業者側の手落ちで契約が守られなかったり、事故が起こっても事業者は一切責任を持たない、といった旨の条項
いかなる理由があっても事業者は一切損害賠償責任を負わないといった内容
〇消費者が支払う違約金等の額を過大に設定する条項 (9条1号)
〇契約を消費者が守らなかった場合の消費者の責任を、不当に重くする旨の条項
〇消費者契約の目的となる、将来に確実に財産上の利得を得られるかどうか、判断が難しいものについて断定的であるかのような判断を提供した場合(「必ず儲かる」等)
〇年14.6%を超える遅延損害金を定める条項(9条2号) 料金の支払が遅延した場合、年30%の遅延損害金を支払うとする条項(無効となるのは、年14.6%を超える部分)
〇消費者の利益を一方的に害する条項(10条) 不動産の賃貸借契約において、借主に過大な原状回復義務を課す条項
〇消費者契約法で取り消しできる期間
「追認をすることができる時」から1年間、当該消費者契約締結の時から5年間を経過したとき取消権は時効によって消滅してしまう。
クーリング・オフは通常、訪問販売や電話勧誘販売など予期しないときに勧誘されて契約してしまった場合の救済措置で、自ら店に出向いて購入する店舗販売やカタログを見て自ら申し込みをする通信販売などの場合は適用されない。しかし、特定継続的役務提供の対象の場合は、自分から店舗に出向いて契約した場合でもクーリング・オフや中途解約ができる。中途解約をするのに理由の如何は問わない。
特定継続的役務提供の対象には、
特定継続的役務提供の対象は?
対象 ①エスティテック ②語学教室 ③家庭教師派遣 ④学習塾 ⑤パソコン教室 ⑥結婚相手紹介サービス
上記6業種で、下記の2つの条件を満たす場合
契約金額 : 5万円を超えるもの
契約期間 : 2ヶ月を超えるもの(エステティックは1ヶ月を超えるもの)
※上のサービスと同時に契約した関連商品(例 エステで言えば化粧品等)も同時に解約できる。ただし、指定消耗品を自分の意志で使用した場合はその商品については解約できない。また、関連商品のみの解約もできない。

2019/11/19