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行政書士が解説する示談書の書き方

行政書士が解説する示談の書き方
「示談」という用語は、一般に、犯罪事件や交通事故などの場合に関して使用することが多く、示談が成立したことを証する書面ということで「示談書」という表題を使用するが、民法695条(和解)に「和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。」とある「和解」とは基本的に相違はない。
示談書を作成する目的は、紛争の解決を図るため、または、終結したことを確認することにある。
日常法律に触れている行政書士には、常識かもしれないが
①示談書の形式は、 見出し、条、項、号でなっている。
②示談書の原本(同一書面)は当事者人数分の部数を作成し、それぞれ1部ずつ、左側をホッチキスで綴じる。
③原本すべてに、最終ページの署名欄に当時者全員が住所氏名を自署の上、捺印する。
また、すべてのページのつなぎ目にまたがって、当事者全員が署名捺印をする。
④既存の貸金や売掛金に関する債務の確認・承認に関する合意である場合には、一律200円の収入印紙が必要になる。
⑤被害者側から示談書を送る場合は、送付状に原本2部に署名捺印の上1部返送をするよう、説明を補足しておくことが重要である。
⑥使用する印鑑は実印がベストではあるが、その場合、実印だと印鑑登録証明書を添付しなければ実印であることの証明が出来ない。印鑑登録証明書を取得するには、印鑑登録が必要であり、なかなか用意することが大変な場合もあるので、通常は、認印を使用することが大半である。
以下に「ストーカー」のサンプルを示す。

                      合 意 書
 ●● ●●(以下、「甲」という)と○○ ○○(以下、「乙」という)とは、本日、以下のとおり合意した。
第1条 (ストーカー等行為の事実の自認)
乙は、甲に対し、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」に違反する言動を為した事実を認める。
第2条 (謝罪)
乙は、甲に対し、自らの行動により、甲を深く傷つけ、多大な精神的損害を生じさせたことを認め、甲に対して謝罪する。
第3条 (誓約事項)
乙は、甲に対して、ツイッターやラインその他のSNSにおいて投稿した記事や画像、メッセージ等の記録は全て抹消済みであり、今後一切復元しないこと、および、本契約締結日以降、甲や甲の家族や同僚、知人、友人、職場等に対し、一切の私的な接触を行わないこと、並びに下記の言動を行わないことを約束する。
(1) つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
(2) その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(3) 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
(4) 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
(5) 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
(6) 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
(7) その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
(8) その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この号において同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。
(9) 他人を介しての前各号による行為。
第4条 (違約時および求償の定め)
乙が第3条の定めに違反した場合には、乙は、甲に対し、慰謝料その他の損害賠償金を支払わなくてはならない。
また、今後万が一、乙の前記言動によって甲が第三者から損害賠償請求を受けた場合、甲は、乙に対して、その損害賠償の全部を負担しなければならない。
第5条 (不処分の定め)
甲は、乙に対し、乙が本合意各条項の定めを遵守することを条件として、被害の届出や刑事告訴・告発その他の処分を求めないことを約束する。
第6条 (秘密保持)
甲及び乙は、相互に、本示談書に定める内容に関し、弁護士等守秘義務を有する国家資格者・警察署等の国家機関・自己の親族などの利害関係者を除き、必要やむを得ない事情がない限り、第三者に告知、開示、漏えい、または当該内容を第三者が容易に想起し得るような言動をしないことを相互に約束する。
第7条 (清算条項)
甲と乙は、本合意書に定める他、損害賠償その他名目の如何を問わず、何等の債権債務が存在しないことを相互に確認する。
以上、本合意の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙各自署名捺印の上、各1通宛を保有する。
平成●年●月●日
  (甲) 住所 (省略)
      氏名      印
  (乙) 住所 (省略)
      氏名      印

2019/11/13