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新相続制度と特別受益

特別受益と相続制度改正
相続制度が40年ぶりに改正され、いよいよ、2020年から新相続制度が施行される。先日、85歳の終活相談者より、新相続制度での「特別受益」について相談を受けた。
http://egonsouzoku.com/magazine/36.html
「特別受益」とは、簡単に言えば、被相続人が相続人に対して生前贈与及び遺贈をした財産のことである。
どうやら、85歳の終活相談者も、この「特別受益」についてネットで調べたらしい。
3 配偶者に対する持ち戻しの推定
婚姻期間20年以上の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又その敷地(配偶者居住権を含みます。)について遺贈又は贈与したときは、民法903条3項の持ち戻しの免除の意思表示があったものとみなされます。
と書かれたサイトの内容を印刷した一枚の紙を示して、私に相談を持ち掛けた。
終活相談者はかなり、自分が亡き後の相続を心配して勉強しているらしかった。驚いたことに、自筆証書遺言の改正についても既に知っていた。
私は、「持ち戻し」、すなわち、生前に、被相続人から贈与を受けたり、遺贈を受けたりした場合、その分(遺贈又は贈与財産)が相続財産に加えられるという相続制度のことであるが、改正民法では、この「持ち戻し」が婚姻20年以上の配偶者である相続人に対し免除(ただし、住居及び敷地の財産に限られている。また、相続税法では、3年以内の「特別受益」については相続税の課税対象となる。)されるという説明を行った。
 
私の説明に納得し、85歳の終活相談者は、かなり高齢にもかかわらず、車を運転し帰って行った。2020年以降、今回の私の事例のように、行政書士が高齢の方から相続について相談される機会が増えるのではないだろうか?

2019/5/18