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小説 田舎行政書士 第2話

小説 田舎弁護士 第2話
「俺、全く、相続のことわからないんだ。相続の本読んでもよくわからない。」博文は観念したように言った。
「相続人が全くいないケースは。最近、増えているが、ほとんどケースは借金ばかり残して相続人が申出ないケースばかりだ。こんなに財産を残すケースは珍しいな。」江尻は支部の「相続」研修を思い出しながら言った。
「で、どうすればいい。」博文はせかすように言った。
「まず、やることは相続財産管理人選任届を出すことだな。」
江尻はバックから相続関係のファイルを取り出して、財産管理人選任届を博文に見せた。
http://www.courts.go.jp/vcms_lf/280608souzaikan.pdf
「相続財産管理人って誰でもなれるのか?」博文は、法政大学を卒業しているだけあって飲み込みが早い。
「相続財産管理人は裁判所が選任する。相続財産管理人には、裁判所にまかせれば、おそらく、地元の司法書士になるはずだ。」江尻は説明するように言った。
「金の出し入れは、相続財産管理人の許可が必要だな。故人が住んでいた市営アパート痛みが酷いので、修繕しなければならないんだ。市役所の人から言われた。いちいち、長野まで行って金の出し入れするのは面倒だな。行政書士はできないの。一夫さん財産管理人になれないの?」博文は顔を曇らせた。
「勿論、相続財産管理人は行政書士でもなれるよ。申立人が指名できるんだ。しかし、地元での金の出し入れは相続財産管理人の確認が必要なので、地元の人になってもらうのが一番いいと思う。」江尻は、はっきりと言った。
「そうか。」一瞬、博文は残念そうな顔した。
「手続きの流れだが、まず、相続財産管理人を選任する。次に、裁判所が官報で相続財産管理が選任されたことを公告する。この期間が2か月間、この2か月間の間の相続人が申出なければ、一般的には、相続財産管理人が、相続財産管理人が選任されない場合は、検察官が相続人を探すための公告をする。この期間が6か月。」江尻は手短にわかりやすく博文に説明した。

2019/5/14