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行政書士と刑法の基礎38(各論 遺棄罪)

行政書士と刑法基礎38(各論 遺棄罪)
遺棄罪と言えば、殺人罪と関係が深い。
「死体遺棄罪」がよく知られている。
判例によれば、遺棄罪で保護すべきは、生命、身体である。ただし、死体遺棄罪で保護すべきは死者に対する敬虔感情(切実な感情)である。
遺棄の定義であるが、刑法217条では「危険な場所に移転させる行為」とされている。(「置き去り」は除く)
話があちこち飛んで申し訳ないが、遺棄には「保護責任者遺棄」がある。保護責任者は刑法総論の不作為犯の作為義務と同様の考
え方である。
「保護責任遺棄」の遺棄の場合は刑法217条とは異なって「置き去り」も含むとされている。(刑法218条)
さらに、ややこしくなるが、「死体遺棄罪」の場合は遺骨も含むとされている。
保護責任者遺棄罪と不作為の殺人罪の区別であるが、不作為の殺人罪は不真正不作為犯だ。一方、保護責任者遺棄罪は真正不作為犯だ。刑法各論を理解する上で刑法総論の考え方が必要になってくる。
保護責任者遺棄罪の要件は故意があるかどうかである。ただし、故意とは言っても「遺棄しよう(放置しよう)」という故意だけでよい。ただし、保護責任者遺棄罪は「結果加重犯⇒重い刑になる」である。

2022/10/25