政書士と刑 法の基礎25(過失犯)
故意が認められなければ、過失犯を検討する。
過失犯では,予見可能性と結果回避可能性の2つだけ検討すればよい。錯誤と比べるとわかりやすい。
理解すべきことは次のとおり3つある。
①過失犯の過失とは何か。
⇒予想される結果を回避しなかった。=過失
②予見可能性とは何か。
⇒予見可能性は具体的でなければならない。
事例
運転する車の荷台に人が乗っていることに気が付かず事故を起こして荷台に乗っていた人を殺してしまった。⇒最高裁の判決は,自動車の後部荷台に人が乗っていたことに気が付いていなくても業務上過失致死罪が成立する。
つまり、結果回避義務(「人」を傷つけるような結果をもたらしてはいけない)ことを意識して,特定の構成要件的結果(人の死)の予見があればよいということになる。
もちろん、幼児の予見と大人の予見は程度が異なる。結論としては、具体的に予見可能であったにもかかわらず予見できなかったことが過失となる。
③結果回避可能性とは何か。
予見可能性だけでは、過失にはならない。結果回避義務を怠れば過失になる。結果回避可能性がないと,刑法で過失犯は問わない。当たり前の話ではある。
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