行政書士と刑法基礎48(詐欺罪)
詐欺罪は要件を理解すれば、よく理解できる。詐欺罪の要件は、民法246条第1項に基づくものと、民法246条第2項に基づくものとに別れている。
まず、保護法益は財産である。正確にいえば、財産を自由に処分する権利である。次に要件であるが、1項詐欺罪と2項詐欺罪にそれぞれある。
1項詐欺罪の要件は
①欺罔行為
欺罔行為は交付の判断の基礎となる重要な事項を偽ること。交付の判断の基礎となるとは、本当のことを知っていなければ交付しなかったであろう」場合に損害があるとする考え方。通説は形式的損害説だけでは詐欺罪の損害にはあたらない。実質的に損害がなければならない。
②錯誤
錯誤者と交付者は同一人物というわけです(被害者は錯誤者や交付者と同一人物でないこともある)。
③交付行為
錯誤に陥った者から自分の意思で交付してもらう必要がある。交付行為自体の認識だけでよく、具体的に何が移転しているかという認識は必要ない。
④故意
⑤不法領得の意思
詐欺罪では窃盗罪と異なり不法領得の意思はほぼ認められる。
次に2項詐欺の要件は、1項詐欺罪とほぼ要件は変わらない。
①欺罔行為
②錯誤
③処分行為(財産上の利益の移転)
処分行為と交付行為は一緒の意味です。ただし財産上の利益に
ついてはあまり「交付」とは言わないので、処分としている。
外形上の認識に基づくものが必要。
④故意
⑤不法領得の意思
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